U_U 's blog

東京都文京区小日向のGalleria Caffe U_U(ユー)の日々を綴るblogです

谷口由美子

【Salone report】 2025.4.22 茶論トーク 英米児童文学の愉しみ

4月22日は、翻訳家 谷口 由美子さんが自ら手掛けられた英米児童文学の魅力をお伝え下さる茶論(サロン)トーク、「茶論トーク 英米児童文学の愉しみ」を開催致しました。
参加下さいました皆さま、ありがとうございます♪

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今回、谷口さんが取り上げました英米児童文学は、「L・M・モンゴメリ 『赤毛のアン』から『パットの夢』へ」でした。

今年からアニメーションの新作も放映になる「赤毛のアン」。
その作者、L・M・モンゴメリは昨年が生誕150年でした。

谷口さんは「赤毛のアン」シリーズも含めて、モンゴメリ作品の翻訳をされているので、「赤毛のアン」以外の作品にスポットを当てて、お話しくださいました。

2月に紹介くださった、谷口さんが訳された“大人向けのモンゴメリ作品”、「青い城」と「もつれた蜘蛛の巣」に続いて、今回は、「銀の森のパット」と「パットの夢」のシリーズについてお話しくださいました。

モンゴメリ作品の翻訳において外せない村岡 花子さんは、当然、パットシリーズも訳されていらっしゃるのですが、なぜか、2作目となる「パットの夢」に当たる作品から「パットお嬢さん」として訳されました。

その理由について、そうなった事情を、谷口さんが教えてくださいました。


谷口さんは、原作の順番どおりに、「銀の森のパット」そして「パットの夢」と訳されています。

今回は、作品の章の内容を追って、その魅力をお伝えくださいました。
銀の森のパット」と「パットの夢」は、プリンスエドワード島が舞台のお話。
赤毛のアン」のアン同様、パットも自分のお気に入りの家の近くの自然に、ステキなネーミングをしています。

そして、パットもアン同様、カッとなるととんでもない行動に出てしまいます。
それは、作者モンゴメリーも同様なのだと、谷口さんが教えてくださいました。

アンシリーズ同様に、パットシリーズも、その情景が目に浮かぶようなモンゴメリーの詩的な表現が随所にあるので、とても訳しやすかった作品とのこと。

とはいえ、アイルランド訛りのお手伝いさんが居たりと、翻訳家ならではの悩みの種もあります。
アイルランド出身のお手伝いさんは、とても魅力的な人物で、主人公だけでなく脇役のひとりひとりにも大切なキャラを付けるのはモンゴメリーらしい、と谷口さんは仰います。
そんなステキなキャラが活きるように、谷口さんが工夫されたアイルランド出身のお手伝いさんのセリフは、どうぞ、翻訳本をご覧になって感じてください。

パットが作品の中で、とても仲良くなるエリザベスは「赤毛のアン」のアンとダイアナのような関係を築きます。そして、その親密な仲になる時の様子は、「青い城」にも似たシーンが描かれています。

そして、パットの周りには何人かの男性が登場し、「最終的にはどうなるんだろう?」と読者はヤキモキする展開が続くのですが・・・、読者の期待を裏切らないエンディングを描くのもまた、モンゴメリー作品のすばらしいところだと、谷口さんは仰います。

モンゴメリーらしさに溢れたパットシリーズの魅力を、モデルになった家や風景の写真も交えて、たっぷりと紹介くださいました。

【Salone report】 2025.2.25 茶論トーク 英米児童文学の愉しみ

2月25日は、翻訳家 谷口 由美子さんが自ら手掛けられた英米児童文学の魅力をお伝え下さる茶論(サロン)トーク、「茶論トーク 英米児童文学の愉しみ」を開催致しました。
参加下さいました皆さま、ありがとうございます♪

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今回、谷口さんが取り上げました英米児童文学は、「L・M・モンゴメリ 『赤毛のアン』から『青い城』へ」でした。

今年からアニメーションの新作も放映になる「赤毛のアン」。
その作者、L・M・モンゴメリは昨年が生誕150年でした。

谷口さんは「赤毛のアン」シリーズも含めて、モンゴメリ作品の翻訳をされているので、「赤毛のアン」以外の作品にスポットを当てて、お話しくださいました。

とは言っても、モンゴメリ作品において「赤毛のアン」は外せませんし、そしてその翻訳本を書かれた村岡 花子さんも抜きでは語れません。
まずは、「赤毛のアン」、そして村岡 花子さんの訳の魅力について、お話しくださいました。

モンゴメリ、そして村岡 花子さんに共通するのは「言葉遣いの巧みさ」。
頭韻を踏まえた表現だったり、使う言葉のうつくしさだったり。
モンゴメリの原文、そして村岡 花子さんの日本語訳、ともに見られることが、永く多くの方に愛読されている理由かもしれません。

例として、「赤毛のアン」の中に出てくる“Lover's Lane”を“いびとのみち”と訳されている部分を紹介されました。これも、言葉で発声すれば「こみち」ですが、書き文字で“小”と“みち”に当てた漢字に“径”を使ったところの村岡 花子さんのセンス、そして、これは文字で表現する文学だからこそ味わえる魅力だと、谷口さんが教えてくださいました。

そして、谷口さんが訳された“大人向けのモンゴメリ作品”、「青い城」と「もつれた蜘蛛の巣」について、お話しくださいました。

青い城」は、プリンスエドワード島ではなくマスコーカ地方が舞台となっている、モンゴメリ作品の中でも珍しい作品です。マスコーカ地方には、モンゴメリもリゾートに行っているので、その描写は生き生きとしています。

主人公の名前はバランシー、ですが、元々は違う名前で書いていたものを、モンゴメリがリスペクトする女性詩人の名前に変えて発表したそうです。

主人公は、誤診となる「余命1年の宣告」を受けてから、生き方をがらりと変えます。
その結果・・・、は作品をぜひ、読んでみてください。

なお本日は、主人公が余命宣告を受けて、自身の考えを変える部分を、作品のモンゴメリの原文を抜粋して、その訳の意味するところも説明くださいました。


続いて「もつれた蜘蛛の巣」。
こちらは、プリンスエドワード島が舞台のお話。
2つの一族が、共通の長老がもつ“水差し”を巡って・・・というお話。
とにかく登場人物が多い作品。
なので、谷口さんの翻案アイデアをベースに登場人物の紹介をしてくださいました。

そして、モンゴメリ自身の生涯についても触れてお話くださいました。

【Salone report】2023.12.17 「大草原の風トリオ コンサート」

12月17日は、翻訳家 谷口 由美子さんが自ら手掛けられた英米児童文学の魅力をお伝え下さる茶論(サロン)トーク、「茶論トーク 英米児童文学の愉しみ」のスペシャルヴァージョン、「大草原の風トリオ・コンサート」を開催いたしました。
来場下さいました皆さま、ありがとうございます♪

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10作のシリーズ本「大草原のローラ」の話には、とうさんがヴァイオリンでさまざまな曲を演奏するシーンが出てきます。その数、なんと120曲!とも言われています。
その音楽を聴いてご存知の方は曲名を読むと音楽が頭の中に流れるかもしれません。
ですが、残念なことに、物語を読んでいるだけでは音楽は聞こえてきませんから、その曲をご存知ないと豊かな音楽のシーンを味わうことができません。

物語を読みながら頭の中で曲が鳴るとより物語の世界が活き活きとして愉しくなる、はず。
谷口さんはヴァイオリニストの福山 陽子さん、そしてピアニストの菅原 真理子さんとともに「大草原の風トリオ」を結成して、「大草原のローラ」の物語を耳でも愉しむ活動を行っています。

福山さんが“とうさん”、菅原さんが“かあさん”、そして谷口さんが“ローラ”となって、ルックスからもう物語「大草原のローラ」の世界へと誘います♪

コンサートへ誘う「Jingle Bells」のウェルカム演奏からいよいよコンサートへ。

コンサートは2部構成で行われました。

第1部は、谷口ローラが進行役となって、出展物語と曲名を紹介して、福山とうさんと菅原かあさんが演奏していきます。
曲が出てくる作品のくだりを谷口ローラが解説してくださることで、大草原のローラの世界をよりたっぷりと愉しむことができました。


「大草原のローラ」シリーズで出てくる曲を実際に演奏で愉しんだあとのブレイクタイムで、ローラ家族も含めてみんなでお茶タイム。
今回のお茶請けスイーツは、ローラが母となってからのレシピをまとめた「ようこそ ローラのキッチンへ」の中から、「ソースパンで作るココア・ブラウニー」を創りました。

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ティーブレイクのあとは第2部、音楽ファンタジー
本の訳者でもある谷口ローラがお話をギュッと40分ほどの脚本に要約し、それに菅原かあさんが音楽を付けた、「大草原の風トリオ」オリジナルの朗読音楽劇です。

谷口さんは、ローラと、のちにローラの夫となるアルマンゾとの関係がストーリーの中心を担っている「長い冬」、「大草原の小さな家」、そして「この楽しき日々」を、ロマンス3部作と紹介されているのですが、この度、3部目の「この楽しき日々」の脚本が完成された、そうです。
そして、今は、披露に向けて、取り組んでいらっしゃるとのこと。

今回は、過去2作品のダイジェスト、そして3部目のプロローグを先行お披露目くださいました。


そして、最後は「大草原の風トリオ」から演奏のクリスマスプレゼント。
福山とうさん、菅原かあさん、そして谷口ローラとともに、ローラ一家となったように「もろびとこぞりて」を、みんなで歌いました。

そしてそして。
賑々しい「Dixieland」、そして、もう一度、クリスマスソングを贈ってくださいました。


ご来場くださいました皆さまとともに、音で聴く「大草原のローラ」の世界のひとときを愉しむことができました♪
ありがとうございます♪

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プログラム
<オープニング>
Jingle Bells

<第1部>
1. My Kentucky Home 「プラム・クリークの土手で」から
2. Barbary Allen 「シルバー・レイクの岸辺で」から
3. Marching Through Georgia 「大草原の小さな町」から
4. The Old Gray Mare 「長い冬」から
5. Whip-Poor-Will's Song 「大草原の小さな町」から
6. Golden Years Are Passing By 「この楽しき日々」から


<ティーブレイク>

<第2部>
音楽ファンタジー 3部作
1「長い冬」から
プロローグ
第2章 「インディアンの警告」

2「大草原の小さな町」
プロローグ
第5章 「家までお送りしてもいいですか?」

3「この楽しき日々」から
プロローグ

<アンコール>
もろびとこぞりて
Dixieland
White Christmas 

【Salone report】 2024.10.22 茶論トーク 英米児童文学の愉しみ

10月22日は、翻訳家 谷口 由美子さんが自ら手掛けられた英米児童文学の魅力をお伝え下さる茶論(サロン)トーク、「茶論トーク 英米児童文学の愉しみ」を開催致しました。
参加下さいました皆さま、ありがとうございます♪

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今回、谷口さんが取り上げました英米児童文学は、「ルイザ・メイ・オルコットの作品世界」でした。

ルイザ・メイ・オルコットと言えば「若草物語
と連想される方も大勢いらっしゃると思いますように、「若草物語」はルイザ・メイ・オルコットの代表作であることは間違いありませんし、「若草物語」を抜きにルイザ・メイ・オルコットを語ることはできないと思います。

ですが谷口さんの茶論トークでも、ルイザ・メイ・オルコットのいろんな作品を紹介してきたように、「若草物語」以外にもルイザ・メイ・オルコットのすばらしい作品があります。
今回は、そんなルイザ・メイ・オルコットの「若草物語」以外の作品にもスポットを当てての茶論トークでした。

ルイザ・メイ・オルコットは、17歳の時に文学作品を出しているように、「若草物語」の前からもさまざまな作品を執筆していました。
その作品は、「若草物語」の中で、ベア先生が「そのような作品を書いてはいけない」と苦言を呈したような作品が多かったそうです。

そんなルイザ・メイ・オルコットの最初のヒット作が「病院のスケッチ」という、ルイザが南北戦争の傷病者の手当のお手伝いをした実際の経験をまとめた作品だったそうです。
このことから、ルイザは「リアルなことが人の心を打つ」ことに気づかせました。

そして、この傷病人を手当てした経験が、ルイザに1回目のヨーロッパ旅行の付添人のチャンスをもたらします。
そして、この1回目のヨーロッパ旅行と自身の4姉妹の話から「若草物語」の1巻目が生まれます。

若草物語」の1巻目が生まれた1868年、白人のアメリカ人の関心ごとは、自分たちのルーツである「ヨーロッパに行くこと」でした。
その中でも憧れの地とされたのが“フランス”だったそうです。

この「白人アメリカ人のフランスへの憧れ」をギュッと作品に込めたのが、谷口さんが訳された「8人のいとこ」シリーズです。

また、谷口さんの新刊「「若草物語」ルイザのヨーロッパ旅物語」のように、自身のヨーロッパ旅行を元にした作品も既知のとおりです。


また、それ以外にも、谷口さん以外の方が訳された、ルイザ、そして若草物語のマーチ一家を題材にした興味深い作品もたくさん紹介くださいました。


そして、茶論トークでは、現在テレビドラマとして放映されている「若草物語」をベースにした翻案ドラマのお話も語られました。

【Salone report】 2024.7.16 茶論トーク 英米児童文学の愉しみ

7月16日は、翻訳家 谷口 由美子さんが自ら手掛けられた英米児童文学の魅力をお伝え下さる茶論(サロン)トーク、「茶論トーク 英米児童文学の愉しみ」を開催致しました。
参加下さいました皆さま、ありがとうございます♪

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今回、谷口さんが取り上げました英米児童文学は、出版されたばかりの「『若草物語』のルイザのヨーロッパ旅物語」でした。

ルイザは2回、ヨーロッパを旅していて、それぞれ旅を元にした作品を残しています。

時系列としては、ルイザの最初のヨーロッパ旅行は貿易商のお嬢さんの付き添いとして。
その時に、スイスのレマン湖にて、ルイザはポーランド青年とステキな時間を過ごします。

二回目のヨーロッパ旅行は、「若草物語」の1冊目と2冊目を出版した後で、妹のメイの友人と3人で旅行しています。つまり、二回目の時は自分の収入で、しかも有名人となって旅行しています。

今回谷口さんが手掛けられた「『若草物語』のルイザのヨーロッパ旅物語」では、一度目の旅行の作品と二度目の旅行の作品、それ以外にも、ポーランド青年とのことを綴った小作品などを一緒に収められています。

ルイザは、一度目のヨーロッパ旅行の作品は、ノンフィクションなスタイルで、二度目のヨーロッパ旅行はフィクションスタイルで書いています。その辺りの“事情”も、茶論トークでお話しくださいました。

谷口さんが「『若草物語』のルイザのヨーロッパ旅物語」をまとめようと思われたきっかけは“パンデミック”の期間。
旅行も、人にも会うことも制限されていた時期に、兼ねてから思っていた“ルイザの旅行記の翻訳”を手掛けることにしたそうです。

今回の「『若草物語』のルイザのヨーロッパ旅物語」を世に出した谷口さんの想いは、ルイザが2回目のヨーロッパ旅行を元にしたノンフィクション作品の最後の章で書き記している言葉に重なるそうです。
その言葉とは
「みなさん(読者のこと)、旅に出なさい。」

今回は、オルコット一家が出てくるノンフィクション作品「ロッタの夢」も合わせて紹介くださいました。
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