U_U 's blog

東京都文京区小日向のGalleria Caffe U_U(ユー)の日々を綴るblogです

大草原のローラ物語

【Salone report】 2022.4.26 茶論トーク 英米児童文学の愉しみ

4月26日は、翻訳家 谷口 由美子さんが自ら手掛けられた英米児童文学の魅力をお伝え下さる茶論(サロン)トーク、「茶論トーク 英米児童文学の愉しみ」を開催致しました。
参加下さいました皆さま、ありがとうございます♪

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今回、谷口さんが取り上げました英米児童文学は「大草原のローラの娘ローズ、そして“わかれ道”」でした。

「大草原のローラ」シリーズの草稿を解説とともに出版された「パイオニア・ガール」のおかげもあって、ローラの草稿を文学作品へと磨くのに、多大な貢献をしたローラの娘 ローズの功績に正しく光が当たり始めているそうです。

谷口さんはアメリカのローラ研究家の方との共同で、ローズに関する本を執筆されています。
まずはその本から、ローズの実際の人となりのお話をしてくださいました。
ローズは今でいうところのキャリアウーマンで、結婚を経験するもすぐに離婚。
1920年代にヨーロッパの各地を旅するなど、その行動力とさらにはジャーナリズム力はそうとうのものだったそうです。


ローラが「大草原のローラ」シリーズの1作目となる「大きな森の小さな家」が出版されたのは1932年。
そして、ローズの自身の自伝的作品ともいえる「わかれ道」は1919年に出版されています。
もともとは雑誌に連載していたもので、それをまとめて単行本として出版するにあたり、ローズは結末を60ページも加筆しているそうです。

この意味においては、ローズは、事実の草稿を元に、フィクションを加味しながら、誰もが愉しめる文学作品にするスキルがすでに磨かれていた、と言えます。


わかれ道」についてのお話をひとつしますと。
登場人物は、ローズを思わせる女性、後にローズの夫となる人を思わせる男性は実際の名前と変えています。そして、もうひとり、ポールという登場人物がいるのですが、このポールは、ローズの実際の人生において実在する人物の名前を変えずに登場させています。
このポール、誰だかわかりますか?
その人は、土地を求めて馬車の旅に出る-ローラの旅日記と,娘ローズによる記録をおさめるノンフィクション作品「わが家への道」に登場しています。

【Salone report】 2022.2.15 茶論トーク 英米児童文学の愉しみ

2月15日は、翻訳家 谷口 由美子さんが自ら手掛けられた英米児童文学の魅力をお伝え下さる茶論(サロン)トーク、「茶論トーク 英米児童文学の愉しみ」を開催致しました。
参加下さいました皆さま、ありがとうございます♪

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今回、谷口さんが取り上げました英米児童文学は谷口さんが翻訳された、「大草原のローラ物語 パイオニア・ガール」でした。

娘ローズに自らの体験を語っていたローラに、書き留めておくことを薦めたローズ。
すでに作家として、また新聞社の編集者としても才能を発揮していたローズは、ローラの体験の覚書を「フィクション」にすることを提案します。

その覚書を、大草原のローラシリーズの作品との関係性の解説付きで出版されたのが「パイオニア・ガール」で、アメリカの著者パメラさんと関係性を築いた谷口さんが翻訳を担当されました。
日本語訳の方では、一連の大草原のローラシリーズとの関係性があることを題名からもわかりやすくするために、「大草原のローラ物語 パイオニア・ガール」になりました。

谷口さんは、作曲家と編曲家の関係になぞらえて、ローラとローズの関係を説明されました。

大草原のローラ物語 パイオニア・ガール」を読むことで、ローラのノンフィクションがどのようにして世界中で愉しまれる文学作品(フィクション)になったか? その味付け具合を愉しむことができます。

一例をあげると、ローラのお父さんや姉のメアリのキャラクターにふくらみを与えたりしています。


また「大草原のローラ」シリーズの「はじめの四年間」は、それまでのローラシリーズとは少し趣が異なることを感じている方もいらっしゃるかもしれませんが、その理由もご説明くださいました。

この本は、ローラも、そしてローズもこの世を去ってから出版された本。
この本の存在はローラもローズも知らないもの。
ローラが亡くなった後に、原稿が見つかり、それを元に出版された本なのです。

谷口さんが仰るに、「はじめの四年間」は文学作品「大草原のローラ」シリーズの続編、というよりも覚書「パイオニア・ガール」の続編と捉えるとよい、とのことです。

つまり、覚書のままではなく、いかに文学作品に仕上げるか、が「はじめの四年間」を読むと間接的にわかる、とも言えるかもしれません。

ローラとローズが、自らの体験を、どのようにして、誰もが愉しめる文学作品にしたのか?
その魔法を知りたい方は、「大草原のローラ物語 パイオニア・ガール」を読むことをお薦め致します。
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