12月20日は、「いろんなワインを味わいたい/ワインのことをもう少し識りたい」方に向けて開催しております体感型ワイン・テイスティング講座、「Wine Lovers Club」を開催しました。
テイスティング下さいました皆さま、ありがとうございます♪

2024年9月からは「オーストラリア」のワインを取り上げています。

オーストラリアは、新興国の中でも、チリと共にワイン産業を盛り上げているワイン国。
世界一大きな島であり、また世界一小さな大陸であり、世界で6番目に広いと言われる国土はヨーロッパ全体のおおよそ7割にも匹敵し、その広さゆえ地域によって気候風土に特徴が異なります。
ワイン産地は、シラーズの銘醸地として最も有名なバロッサ・ヴァレーを始めとして、東端のニュー・サウス・ウェールズ州から西端の西オーストラリア州まで3,000km超にわたって点在しています。
また、近年は世界的なトレンドや地球温暖化による影響から、タスマニアやヤラ・ヴァレーをはじめとした冷涼産地(クール・クライメイト)にも注目が集まっており、異なるテロワールを持つ各産地から、多様性豊かなワインが生み出されています。
そんなオーストラリアでは、シラーズやカベルネ・ソーヴィニヨン、シャルドネといった多彩なブドウ品種が栽培されており、その生産量と質の両方において重要な役割を果たしています。


オーストラリア」のワインの3回目は「タスマニア州のワイン」を取り上げました。

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海に囲まれた最南端のタスマニア州は、オーストラリア本土から約250km離れた場所にある島で、一つの州として認められています。北海道とほぼ同じ緯度に位置し、北海道よりひと回り小さな島です。面積の約4割が「自然保護区」に指定されていて、自然豊かな希少動物の生息地として知られています。また近年は高品質なワインの産地としても注目されています。

ブドウ栽培面積は約1700haで、オーストラリア全体の生産量のわずか1%にも満たないですが、プレミアムなワインの生産地として注目されています。

タスマニアは特に高品質なスパークリングワインで知られていますが、実は生産量の2/3はスティルワインが占めています。

タスマニア州は人が住める環境下で、「世界一 水と空気の美しい場所」と言われています。タスマニア島の西側は遥か彼方アフリカ大陸に至るまで海が続きます。南側は南極大陸で、公害や大気汚染とは一切無縁の島なのです。空気が澄んでいるため遠方の緑や景色が色濃く見え、雨水は日本の浄水よりも綺麗でそのまま飲用されるほどです。

タスマニア全体のワイナリー(ブドウ畑)の数は約230にものぼり、それぞれで独自のワイン造りが行われています。
 
タスマニアはピノ・ノワールシャルドネが最もメジャーな品種で、ソーヴィニヨン・ブランやリースリング、ピノ・グリなども年々増えてきています。
黒ブドウ品種ではカベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フランにメルローなどが見られ、オーストラリア本土と違う点として、タスマニアではシラーズはあまり栽培されていません


タスマニアのワイン産業の始まりは、1950年代にブドウを植えたのが最初です。比較的早く葡萄園が開かれたタスマニアですが、「タスマニアの気候はワインには寒すぎる、葡萄栽培適した土地ではない」という見解が当時の多くの人々の結論でした。
しかし、1980年代から一気にビンテージの設立が急増しました。きっかけは、シドニー大学にて葡萄生理学を研究していたアンドリュー博士の論述から全てが再スタートされたのです。
1972年、アンドリュー・ビリーは、北部のパイパーズ・ブルック地区が繊細なヨーロッパ・スタイルのワインに適するという研究により、オーストラリアで初めて栽培学でPhDを修得しました。このタスマニアの地こそ、フランスのシャンパーニュ地方やラインガウ地方やボルドー地方に匹敵する寒冷な気候を持ち、高品質の品種が生産できる要素を持っていました。
タスマニアの地理は人が思う以上に、ワイン製造にとっては変化に富んだ地域です。

その後タスマニアは、おもにスパークリングワインのベースとなるベースワイン用のブドウの産地として知られるようになりました。また近年では、タスマニアで造られた質の高いスティルワイン(赤・白・ロゼ)も人気となっています。

今回は、タスマニアのワインのみならず、タスマニア産業を作り上げた「タスマニアの父」と呼ばれる方のワイナリーのワインを実際に味わって、感じていただきました。

今回取り上げましたワインのノートは下記のとおりです。

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