10月25日は、翻訳家 谷口 由美子さんが自ら手掛けられた英米児童文学の魅力をお伝え下さる茶論(サロン)トーク、「茶論トーク 英米児童文学の愉しみ」を開催致しました。
参加下さいました皆さま、ありがとうございます♪

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今回、谷口さんが取り上げました英米児童文学はキャロル・ライリー・ブリンクの「アーマのうそ」でした。

キャロル・ライリー・ブリンクは、日本ではあまり知られていないアメリカの児童文学作家ですが、アメリカ合衆国における最も優れた児童文学の著者に与えられる賞「ニューベリー賞」も受賞している、アメリカの児童文学黄金期に活躍した作家です。

谷口さんはキャロル・ライリー・ブリンクの本を2冊、「ミンティたちの森のかくれ家」、「小さいママと無人島」のタイトルで訳本を出され、茶論トークでも紹介くださっています。
今回は3冊目の訳本で、訳本としては初訳です。

キャロル・ライリー・ブリンクは10歳くらいの少女を主人公とした児童文学の優れたストーリーテラーとして知られ、この「アーマのうそ」のアーマもまたステキな主人公を務めます。
引っ越したばかりで人見知りがちな、ちょっと冴えない感じで表現されるアーマが、同じ学校に通うジュディに話しかけられ物語が動き始めます。ジュディにアーマが語った“ちょっとしたうそ”がきっかけで、アーマは学校中さらには街中から注目を集めるようになるのですが・・・
とあらすじを聞くだけでもワクワクしてきませんか?


アーマのうそ」は出版された時期は古いのですが、翻訳本として出版することで「新しい本」として甦る、そんな役割も翻訳本にはあると、谷口さんは仰いました。

翻訳するにあたっては、原文で成立するものを日本語に置き換えても成立するためには、原書にはない“工夫”が必要になります。そんな“工夫”があるからこそ、「日本語で読んでも面白い本」になるのです。
今回の「アーマのうそ」の翻訳で、谷口さんがなされた“工夫”の一端もご紹介くださいました。

キャロル・ライリー・ブリンクがニューベリー賞を受賞した作品は、谷口さんが訳された3冊にはありません。その優れた作品を訳すには、児童文学にはあるあるな題材がネックとなっています。
文学作品の時代背景の人々の当時の考え方を、児童文学を読む子どもたちに
知らせない方がいいのか?
知らせる方がいいのか?

いつも議題になる問題です