U_U 's blog

東京都文京区小日向のGalleria Caffe U_U(ユー)の日々を綴るblogです

もつれた蜘蛛の巣

【Salone report】 2025.2.25 茶論トーク 英米児童文学の愉しみ

2月25日は、翻訳家 谷口 由美子さんが自ら手掛けられた英米児童文学の魅力をお伝え下さる茶論(サロン)トーク、「茶論トーク 英米児童文学の愉しみ」を開催致しました。
参加下さいました皆さま、ありがとうございます♪

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今回、谷口さんが取り上げました英米児童文学は、「L・M・モンゴメリ 『赤毛のアン』から『青い城』へ」でした。

今年からアニメーションの新作も放映になる「赤毛のアン」。
その作者、L・M・モンゴメリは昨年が生誕150年でした。

谷口さんは「赤毛のアン」シリーズも含めて、モンゴメリ作品の翻訳をされているので、「赤毛のアン」以外の作品にスポットを当てて、お話しくださいました。

とは言っても、モンゴメリ作品において「赤毛のアン」は外せませんし、そしてその翻訳本を書かれた村岡 花子さんも抜きでは語れません。
まずは、「赤毛のアン」、そして村岡 花子さんの訳の魅力について、お話しくださいました。

モンゴメリ、そして村岡 花子さんに共通するのは「言葉遣いの巧みさ」。
頭韻を踏まえた表現だったり、使う言葉のうつくしさだったり。
モンゴメリの原文、そして村岡 花子さんの日本語訳、ともに見られることが、永く多くの方に愛読されている理由かもしれません。

例として、「赤毛のアン」の中に出てくる“Lover's Lane”を“いびとのみち”と訳されている部分を紹介されました。これも、言葉で発声すれば「こみち」ですが、書き文字で“小”と“みち”に当てた漢字に“径”を使ったところの村岡 花子さんのセンス、そして、これは文字で表現する文学だからこそ味わえる魅力だと、谷口さんが教えてくださいました。

そして、谷口さんが訳された“大人向けのモンゴメリ作品”、「青い城」と「もつれた蜘蛛の巣」について、お話しくださいました。

青い城」は、プリンスエドワード島ではなくマスコーカ地方が舞台となっている、モンゴメリ作品の中でも珍しい作品です。マスコーカ地方には、モンゴメリもリゾートに行っているので、その描写は生き生きとしています。

主人公の名前はバランシー、ですが、元々は違う名前で書いていたものを、モンゴメリがリスペクトする女性詩人の名前に変えて発表したそうです。

主人公は、誤診となる「余命1年の宣告」を受けてから、生き方をがらりと変えます。
その結果・・・、は作品をぜひ、読んでみてください。

なお本日は、主人公が余命宣告を受けて、自身の考えを変える部分を、作品のモンゴメリの原文を抜粋して、その訳の意味するところも説明くださいました。


続いて「もつれた蜘蛛の巣」。
こちらは、プリンスエドワード島が舞台のお話。
2つの一族が、共通の長老がもつ“水差し”を巡って・・・というお話。
とにかく登場人物が多い作品。
なので、谷口さんの翻案アイデアをベースに登場人物の紹介をしてくださいました。

そして、モンゴメリ自身の生涯についても触れてお話くださいました。

【Salone report】 2019.10.22 茶論トーク 英米児童文学の愉しみ

10月22日は、翻訳家 谷口 由美子さんが自ら手掛けられた英米児童文学の魅力をお伝え下さる茶論(サロン)トーク、「茶論トーク 英米児童文学の愉しみ」を開催致しました。
参加下さいました皆さま、ありがとうございます♪

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今回、谷口さんが取り上げました英米児童文学は「もつれた蜘蛛の巣」でした。

この本は「赤毛のアン」で日本でも有名なL.M.モンゴメリの作品。
モンゴメリは『青い城』など、大人のためのロマンス小説を7冊書いています。
その2冊目が「もつれた蜘蛛の巣」です(原題は“A Tangled Web”)。

谷口さんがとにかく面白いと絶賛されるお話。
モンゴメリ作者本人も時々間違えてしまっているほど、あまりの登場人物の多さに、1章で挫折してしまうかもしれませんが、そこをぜひ乗り越えて欲しい!ほどに、ステキなハッピーエンド小説。
舞台やドラマの担当の方には注目して欲しい作品です。

この作品の紹介とともに、モンゴメリの生涯についても谷口さんはご紹介くださいました。

粛々たる牧師夫人としての一生を始める前にはモンゴメリも2度ほど、結婚を考えた恋の経験がありました。
そして、牧師夫人として夫とともに人生を歩んでからは、生前は一度もプリンス・エドワード島に戻ることはありませんでした。

聡明なで魅力的なモンゴメリが牧師夫人として立派に務め上げることができた、その生き方を支えたものの大きなものが「小説を書くこと」だったと、谷口さんはおっしゃいます。
小説ではいつもモンゴメリを魅了してやまなかったプリンス・エドワード島のうつくしい風景が描かれます。
登場人物の中には、非常に正論だけど辛辣な表現をする人物も出てきます。
表面からは伺い知ることのないモンゴメリの心中のモヤモヤはすべて小説に吐き出すことで、モンゴメリは平静を保っていられたのだ、と。

そう考えると・・・
もつれた蜘蛛の巣」のベッキーおばさんはモンゴメリ本人で、登場するあまたの女性たちの中には今までのいろんなモンゴメリ自身が投影されているのかもしれません。
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