本日は、翻訳家 谷口 由美子さんが自ら手掛けられた英米児童文学の魅力をお伝え下さる茶論(サロン)トーク、「茶論トーク 英米児童文学の愉しみ」を開催致しました。
参加下さいました皆さま、ありがとうございます♪

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本日谷口さんがご紹介くださった英米児童文学はルイザ・メイ・オルコット作の「若草物語」です。
「若草物語」は4巻ありますが、その第一巻である「Little Women」は1868年に出版されています。
つまり、2018年は「Little Women」出版150周年の記念年。
 
2018年6月12日の回でお話がありましたように、青い鳥文庫の「若草物語」は1巻は別の方が訳され、2巻から4巻までを谷口さんが訳されていたものを、今回、谷口さんが新訳された1巻のお披露目となりました。

1868年は、アメリカではまだ開拓時代の前、ビクトリア朝の時代。
話は、作者オルコットが実際に体験したことをベースにしたフィクション。
ストーリーはかわいらしく、そして生活の根っこには敬虔な聖書の教えがある。
そんな150年前に出版された本が、今なお人気で、さらにエマ・ワトソンやメリル・ストリープ主演で映画がまた創られようとしているくらいに、その魅力は失われていません。


日本でも1906年(明治39年)に、良家の3人の女性の合作(北田秋圃はその3人の名前からそれぞれ一字をとって付けたそうです)で『小婦人』の名で翻案のカタチで出ています。

「若草物語」1巻の原題は「Little Women」です。
原題となっている「リトル・ウィメン」はルイザの父親が実際にルイザを含む4姉妹の娘たちを呼称するのに用いた言葉で、単なる幼い少女ではなく一人の立派な女性であるという意味合いで用いていたそうです。


谷口さんが監修された「若草物語―ルイザ・メイ・オルコットの世界」は、「若草物語」の著者ルイザ・メイ・オルコットの生涯を豊富な写真や資料で紹介しています。
その中では、ルイザの日記や手紙からの引用も含まれています。

そんなルイザのこともよくご存知の谷口さんが、ルイザの分身であるJoが登場するストーリーを訳されていますので、訳本の深さがまた違ってくるはずです。


青い鳥文庫は簡訳本ですので、悩みは「どこを削るか」だったとのこと。
一見、ストーリー展開には関係ないけれど以降の話の伏線になっている部分があったり、読み物として面白い部分だったり、どこを削るかは翻訳の醍醐味でもあるそうです。


そして今年2019年に、出版150周年を記念して、12月には谷口さんの訳による「若草物語」の愛蔵版が出す構想があるそうです。そちらも今後の展開が愉しみです♪