本日は、翻訳家 谷口 由美子さんが自ら手掛けられた英米児童文学の魅力をお伝え下さる茶論(サロン)トーク、「茶論トーク 英米児童文学の愉しみ」を開催致しました。
参加下さいました皆さま、ありがとうございます♪

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本日谷口さんがご紹介くださったお話は翻訳家「村岡 花子」です。

今年2018年10月25日は村岡 花子さんの50周忌に当たるのだそうです。
谷口さんは村岡 花子さんの講演会を聞かれたことがあり、その時、ご自分がお持ちの「Anne of Green Gables」にサインを入れていただいたそうです。

ドラマでも有名になりました村岡 花子さん。
ドラマでは脚色が施されている部分はありますが、海外渡航経験がないのに英語が堪能だったのは事実。
そして英文だけではなく、日本語の文学にも造詣が深かったそうです。

村岡 花子さんが翻訳作家への道を歩むきっかけとなったのは、森 鴎外翻訳によるアンデルセンの「即興詩人」を読んで感銘を受けたこと、とのこと。
翻訳本は“単なる言葉の写し替え” ではなく、“原書の持つ魔力を伝える本”であると思ったのだそうです。

谷口 由美子さんも常々「翻訳本は“原作のある日本文学”」と仰っています。
だからただ英語が理解できるだけでは翻訳はできない。

お話の中では、L・M・モンゴメリの原作の中の英語表現と、そして村岡 花子さんの訳を併せて紹介くださいました。
モンゴメリも言葉の“音(オン)”にうつくしさを表現していて、それをまた村岡 花子さんもしっかりと日本語で表現している。
村岡 花子さんの翻訳のすばらしさが今の日本の「赤毛のアン」に繋がっているのですね。

村岡 花子さんは人から勧められた本を訳すことは決してなかったそうで、自らが手に入れて「面白い」 と思った本を訳されていたそうです。つまり、「本の選択眼にも優れていた」翻訳作家だったとのこと。


また村岡 花子さんの「赤毛のアン」の中の“ミステリー”として紹介くださったのが、マシューが亡くなったあとの件で原作にはあるのに村岡 花子さんが訳していない部分があります。
それはある人物同士の関係の変化を表す部分なのですが、村岡 花子さんは訳していません。
その理由はわからないのだそうです。
翻訳は必ずしも“全文を完全に訳したもの”ではない“簡訳本”があります。
意図的なのか? 紙数の問題なのか? 謎に包まれたままとのこと。

またL・M・モンゴメリの“パットシリーズ”では、村岡 花子さんの訳では2作目が世に出ています。
今では少ないことですが、昔はシリーズものと知らずに原書を手に入れ訳すケースもあったそうです。
そして“パットシリーズ”の1作目に関しても、村岡 花子さんは訳に手を付けていたことが遺稿でわかっているそうです。その日付は1968年10月20日となっています。

原作のある日本文学を読めるのは、すばらしい感性をお持ちの翻訳作家のおかげなのですね♪