本日は、翻訳家 谷口 由美子さんが自ら手掛けられた英米児童文学の魅力をお伝え下さる茶論(サロン)トーク、「茶論トーク 英米児童文学の愉しみ」を開催致しました。
参加下さいました皆さま、ありがとうございます♪

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本日谷口さんがご紹介くださった英米児童文学はルイザ・メイ・オルコット作の「若草物語」です。
「若草物語」は4巻ありますが、その第一巻である「Little Women」は1868年に出版されています。
つまり、今年は「Little Women」出版150周年の記念年にあたります。

ちなみに「若草物語」という書名は、矢田津世子さんによる翻訳の時、初めて使われたそうです。
この本の初版発行は1934年で、キャサリン・ヘップバーン主演による映画「若草物語」の日本公開に先がけて出版された本のタイトルです。
日本で最初に翻訳本が出版されたのは、良家の3人の女性の合作(北田秋圃はその3人の名前からそれぞれ一字をとって付けたそうです)で1906年(明治39年)に、『小婦人』の名で翻案のカタチで出ています。

「Little Women」は、19世紀後半のアメリカを舞台に、ピューリタンであるマーチ家の四人姉妹を描いた物語で、「Little Women Married, or Good Wives」、「Little Men」、「Jo's Boys」と続き、姉妹の成人・結婚やその後の生活が描かれています。

原題となっている「リトル・ウィメン」はルイザの父親が実際にルイザを含む4姉妹の娘たちを呼称するのに用いた言葉で、単なる幼い少女ではなく一人の立派な女性であるという意味合いで用いていたそうです。
このように、「若草物語」のシリーズには、ルイザが経験したさまざまな自伝的要素が散りばめられています。
ルイザ自身も4姉妹の次女で、その性格は話の中のJoに色濃く反映されています。
また、実際に若くしてなくなった3女のベスだけは話の中でも“ベス”の名前で描かれています。

ルイザは2度の渡欧経験があるのですが、その一回目は1865年、ルイザは従軍看護婦の仕事の経験もあることから、良家の娘さんが渡欧する際の付き添い看護婦として渡欧しています。

その時にスイス レマン湖のほとりで宿泊していた時にポーランド人の青年と出会っています。
その経験は、作品中で4女エイミーと結局は結婚するローリーに反映されているそうです。

谷口さんが監修された「若草物語―ルイザ・メイ・オルコットの世界」は、「若草物語」の著者ルイザ・メイ・オルコットの生涯を豊富な写真や資料で紹介しています。
その中では、ルイザの日記や手紙からの引用も含まれているのですが、ポーランド青年とのロマンスはルイザが存命の時に処分をしてしまっているために、秘されているそうです。

今年出版150周年を記念して、谷口さんの訳による「若草物語」の愛蔵版が出ることになっているそうです。