本日は、翻訳家 谷口 由美子さんが自ら手掛けられた英米児童文学の魅力をお伝え下さる茶論(サロン)トーク、「茶論トーク 英米児童文学の楽しみ」を開催致しました。
参加下さいました皆さま、ありがとうございます♪

本日、谷口さんがご紹介くださいましたのは、ローラ・インガルス・ワイルダーの新書「パイオニアガール」です。

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2014年秋にアメリカで出版された「パイオニアガール」。
これはローラ自身が書き留めておいた回想録です。
しかもベースは、娘ローズが添削する前、まさにローラが執筆したものです。

ローラの名前を知らしめた「リトルハウスシリーズ」は、「パイオニアガール」を子供たちのためにローラがフィクションも交えて再創造したものです。
「フィクション」というと、「作り物」=「事実じゃない」というイメージを持つ方もいらっしゃるかと思いますが、「実体験をもとに、読み物としてよりドラマティックにした」という認識をした方が良い、と谷口さんはおっしゃいます。
つまり、「リトルハウスシリーズ」では、ローズの添削も交えながらではあるものの、ローラは歴史書家ではなく児童文学家として執筆していた、ということです。

これにはステキなエピソードがあります。
リトルハウスブックの1冊目が出版された時は、アメリカは大恐慌時代の最中でした。
当初出版される予定だった出版社も倒産の憂き目に遭います。
その時に、倒産した出版社の経営者がライバル社に「とてもいい本があるから出さないか?」と電話したそうです。
そしてその電話を受けたライバル社の経営者が、「これは子供向けに書いてはどうか?」とローラに提案しました。
その提案によって、ローラの執筆意欲は俄然盛り上がったそうです。
「いかなる大恐慌も出版を止められなかったこの本」は、その後シリーズとして9冊(ローラがブラッシュアップしたものとしては8冊)出るほどとなりました。

そのリトルハウスシリーズの元となる、ローラが「子供の時の経験を大人の目から見た大人のための年代記」として記した「パイオニアガール」は、1970年代にはその存在を知られていました。
ですが実際に出版されたのは2014年です。
なぜこのタイミングだったのか?
谷口さんは、今このタイミングだからこそ、リトルハウスシリーズの「本当の姿」を知ってもらうことができるのでは?とおっしゃいます。

そして現在、谷口さんはこの本を翻訳中です。
出版予定は「2017年のローラ生誕150周年」!
リトルハウスシリーズの「真の姿」を日本語で読むことができるようになります♪
出来上がりが今から愉しみです♪