本日は、翻訳家 谷口 由美子さんにご自身が手掛けられた英米児童文学の魅力をお伝えいただく茶論トーク、「茶論トーク 英米児童文学の楽しみ」を開催致しました。
参加下さいました皆さま、ありがとうございます♪

本日は、「サウンド・オブ・ミュージックを生きたマリア・フォン・トラップ」 というタイトルで、主にマリア・フォン・トラップに焦点を当ててお話くださいました。

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谷口さんがマリア・フォン・トラップに惹かれていったきっかけは、意外にも、谷口さんが大好きとおっしゃるローラ・インガルス・ワイルダーでした。
アメリカ人のローラ研究家の方とお話をしている時に唐突に出た言葉、
「私は、マリア・フォン・トラップに会ったことがあるんだ。」
谷口さんが、ローラ研究家のアメリカ人を訪ねた年の数ヶ月前に、サウンド・オブ・ミュージックの元となったマリアが亡くなっていたそうです。
日本では「映画の話」という存在のトラップファミリーは、アメリカ全土では大人気のファミリー・シンガーズでした。

シンガーズのコンサートでは演奏の歌はもちろん、ふとした事件が元で始まったマリアのMCもとても好評で、「本にしたらいいわ」というお話から、マリアが書いた自叙伝「The Story of the Trapp Family Singers」が生まれます。
オーストリア人だったマリアは母国語はドイツ語でしたが、この本はアメリカに亡命してから年を経て書いたので英語で書かれました。
この自叙伝を読んだドイツの映画会社が「面白い」ということで、オーストリア編とアメリカ編の2作の映画を製作します。日本では「菩提寺」「続菩提寺」と放題が付いている映画です。
この映画を観たブロードウェイの方が「面白い」ということで、オーストリア編を舞台化します。
ミュージカル「サウンド・オブ・ミュージカル」の誕生です。
この舞台が「面白い」ということでアメリカで映画化されます。
これが映画「サウンド・オブ・ミュージック」の誕生です。

アメリカ作の舞台や映画では、ドラマチックさのためにかなりのフィクションが入っています。

谷口さんがおっしゃるに、マリア・フォン・トラップはアイデアマンでパイオニア的存在。
実際に翻訳本を読むと、マリアのアイデアと行動力が溢れんばかりです。

一方で、マリアは敬虔なカソリック教徒だったので、この物語は「神の御心に従ったから、私たちはこうしてアメリカに到っている」というマリアのミショナリーが込められた本でもあります。

ですが!
とにかく面白いのです。
アメリカで映画化されて知られている「オーストリア編」もですが、アメリカに渡ってからファミリー・シンガーズとして成功するまでを書いた「アメリカ編」も面白いのです!

そして、トラップ・ファミリーがアメリカにもたらしたものはいくつかあります。
リコーダー、オーストリアスキー、さらにはミュージック・キャンプ。

今回は、谷口さんが本家トラップ・ファミリー・シンガーズの演奏が収録されたCD、次男の孫たちが結成してるシンガーズのCD、そしてトラップ一家のオーストリア時代の家がホテルとして活用される時のドキュメントDVDも観せて、聴かせてくださいました。

皆さんもぜひ、サウンド・オブ・ミュージックの翻訳本を読んでみてください♪