10月21日は、「いろんなワインを味わいたい/ワインのことをもう少し識りたい」方に向けて開催しております体感型ワイン・テイスティング講座、「Wine Lovers Club」を開催しました。
テイスティング下さいました皆さま、ありがとうございます♪

2021年1月より、「イタリア」の生産地域と葡萄品種の関係にフォーカスしたテーマでワインをセレクトして開催しております「Wine Lovers Club」。

アルプス山脈の南側から地中海に張り出した細長い地形のイタリアは、温暖で日照にも恵まれ、ブドウ栽培に適した環境であるため、国土のほとんどの地域で昔からワインが造られてきました
イタリアワインの魅力はなんと言ってもその多様性500種を超えると言われる土着品種に特化したり、国際品種を上手に取り入れながら、多様な気候と相まって土地の個性を表現したワインが生み出されています。

イタリアワイン産地を巡る旅の16箇所目は「ヴァッレ・ダオスタ」を取り上げました。

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ヴァッレ・ダオスタ州は、古代の氷河によって形作られた「アオスタの渓谷」と言う名前の州。イタリア北西部の端に位置し、アルプス山脈によって、北をスイス、西をフランスと国境を接します。
スイス国境には、マッターホルン(4478m)、モンテ・ローザ(4634m)。フランス国境にはモンブラン(4807m)を仰ぐ、60%が山岳地帯、35%が丘陵地帯の山岳地帯。ウインター・スポーツのメッカであると共に、夏は登山を楽しむ人で賑わいます。
イタリアで最も小さな州で、イタリアで唯一県のない州です。

州を西北から東南に横切るトーラ・バルテーア川沿いの国道は古代ローマ時代からイタリアとフランスを結ぶ交易路として栄え、州都アオスタの町はスイスとフランスの分岐点にもなっていて、ローマ時代は戦略上重要視されていました。現在も凱旋門や円形劇場などの遺跡が残っていて、別名「アルプスのローマ」とも呼ばれます。

 また、1814年までフランス領であった事から、イタリア語と共にフランス語も公用語となっています。このため、イタリアでありながらどこでもフランス語が通じます
文化的にもフランスのサヴォワ県、スイスのヴァレー州と関係が深いフランス語圏の自治州です。
そのため、ヴァッレ・ダオスタのワインは、ラベルにイタリア語とフランス語の2種類で表記されています。

典型的なアルプス気候なので、冬は寒さが厳しく、降雪が多く、夏は涼しく、昼夜の温度差が激しく、雨は少ないです。ドーラ・バルテア川周辺はやや温和な気候になります。 
 葡萄畑は、州を北西から南東に横切るトーラ・バルテーア川沿いの渓谷の切り立った斜面の800~1200mのところで栽培されていて、イタリアで最も標高の高い産地とされます。土壌は高地によく見られる砂と石灰。
 石塀に囲まれた段々畑で、古代ローマの時代から石柱で支える独特な棚式栽培が行われています。畑の所有が細分化しているので、生産者協同組合にブドウを供給する兼業農家も多いです。生産者協同組合のレベルは高く、安心できる品質のワインを生産しています。

こうした環境のなかで、ピノ種やプティ・ルージュ種などフランス系の品種とピアモンテ系品種の葡萄が栽培されていますが、コルナリン種といったヴァッレ・ダオスタの土着品種が栽培されています。
この地域の料理にはチーズや肉が多く使われるため、生産もそれらの料理に合う赤ワインが主流です。

 標高1000mを超す高地にあるブドウ畑もあり、栽培は困難を伴いますが、ワインは際だった個性を誇ります。
白ワインはいかにも山のワインらしい清らかなアロマとフレッシュな酸を持ち、限りなく優美なものが多いです。また赤ワインは意外にタンニンがしっかりとしていて、陰影に富んだものが多いのが特徴です。甘口ワインも酸に支えられてフレッシュかる軽やかな味わいで、決して甘ったるくなくことはありません。

 ヴァッレ・ダオスタのワインは個性的で高品質なものが少なくありませんが、生産量が少ないから国外はもとより州外でも手に入れるのは簡単ではありません。


今回はヴァッレ・ダオスタ州のワイナリーからワインを3種取り上げました。
今回取り上げましたワインのノートは下記のとおりです。

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