8月19日は、「いろんなワインを味わいたい/ワインのことをもう少し識りたい」方に向けて開催しております体感型ワイン・テイスティング講座、「Wine Lovers Club」を開催しました。
テイスティング下さいました皆さま、ありがとうございます♪

2021年1月より、「イタリア」の生産地域と葡萄品種の関係にフォーカスしたテーマでワインをセレクトして開催しております「Wine Lovers Club」。

アルプス山脈の南側から地中海に張り出した細長い地形のイタリアは、温暖で日照にも恵まれ、ブドウ栽培に適した環境であるため、国土のほとんどの地域で昔からワインが造られてきました
イタリアワインの魅力はなんと言ってもその多様性500種を超えると言われる土着品種に特化したり、国際品種を上手に取り入れながら、多様な気候と相まって土地の個性を表現したワインが生み出されています。

イタリアワイン産地を巡る旅の14箇所目は「モリーゼ」を取り上げました。

モリーゼワインマップ

モリーゼ州は、アブルッツオ・モリーゼ州が1965年に分割して誕生50年余り。イタリアで最も新しい州で、人口35万人、面積もヴァッレ・ダオスタ州に次いでイタリア2番目に小さな州です。
北はアブルッツォ州、西はラツィオ州、南はカンパーニア州とプーリア州に接していて、東にはアドリア海が広がっています。
北東部をアドリア海に面するものの、西部はアペニン山脈の高山とそれに続く丘陵地帯となるため、内陸的な印象の強い州と言えます。州都はカンポバッソ。

アペニン山脈とアドリア海の豊かで力強い自然の恵みにあふれた州ですが、内陸部は過去1000年の間に4回も大地震に見舞われ、世界大戦中は爆撃も受けるなど苦難の歴史を持ちます。

この地は州の西側をアペニン山脈が覆っているため、55%が山岳地帯で、残り45%も丘陵地帯で平地は殆どありません。麦、ジャガイモ、葡萄などを主とする農業と畜産が中心で、工業化の面では遅れた地域でした。このため長らく他州や外国への労働力供給地となってきました。
経済はあまり発展していないモリーゼ州ですが、その分、美しい自然が残っており、今でも穀物やブドウ、オリーブの栽培による農業や零細手工業が州の中心産業となっています。また、畜産業も盛んで、古くから続く羊の放牧移動は現在も行われており、羊や牛のミルクから多種多様なチーズが造られています。
1950年の農業改革法で対象地域に指定され、土地利用を含む総合的な農業対策が進められ、ブドウ栽培も盛んになってきました。


気候は夏と冬、昼と夜の寒暖差の激しい亜大陸性気候で、州都カンポバッソのある内陸部の冬は極寒で雪も降ります。一方、アドリア海沿岸部は温暖で降雨の少ない海洋性気候となっています。

ブドウ畑は主に標高の高い丘陵地帯に広がっています。石灰粘土質の土壌が中心で、昼夜の寒暖差が大きいため、凝縮したブドウができます。

丘陵地帯の畑は日照量も十分ありブドウ栽培には適したテロワールですが、そもそも海抜500mに至る高地でのブドウ栽培も行わなければならないほど山岳地帯での栽培が多いためブドウ栽培面積、ワイン生産量ともに多くはありません。
ワイン造りは古代から行われてきましたが、地元消費が中心でした。近隣州へ原料ワインとして供給されることも多かったため、モリーゼ州のワインは未だにイタリア国内においても知名度が低いと言わざるを得ません。DOC(G)ワインの生産も0.3%弱で、20州の17番目。DOCも3つしかありません。

しかし、近年は栽培醸造技術も向上し、モリーゼ州固有の品種によるワイン造りが活発化してきています。


今回はモリーゼ州のワイナリーからワインを3種取り上げました。
今回取り上げましたワインのノートは下記のとおりです。

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