6月29日は、翻訳家 谷口 由美子さんが自ら手掛けられた英米児童文学の魅力をお伝え下さる茶論(サロン)トーク、「茶論トーク 英米児童文学の愉しみ」を開催致しました。
参加下さいました皆さま、ありがとうございます♪

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今回、谷口さんが取り上げました英米児童文学は「新大草原の小さな家のなぞ!」というタイトルで「新大草原の小さな家」シリーズでした。

”と付くと日本語翻訳本では「大草原のローラ」シリーズの作者ローラ・インガルス・ワイルダーが母となり娘を授かっての暮らしのシリーズを指します。これは日本だけの表現で、本国のアメリカでは「ローズ・イヤー」とか「ロッキーリッジシリーズ」と呼ぶそうです。

さて、今回は「新大草原の小さな家のなぞ」というタイトルなのですが、そのなぞとはいったい・・・。

実は「新大草原の小さな家」シリーズは、谷口 由美子さんともうひと方とで分担して訳を担当されていまして、谷口さん奇数巻、もうひとかたが偶数巻を担当されました。
原書では、8冊出版されているのですが、訳本は6冊で止まっています。
それはなぜか・・・
それは谷口さんが第7巻を訳すのを良しとできなかった、からです。

その理由については、茶論トークでしっかりとお話しくださいました。
ここでは、「新大草原の小さな家」シリーズの“著者”として名前が出ているロジャー・リー マクブライドが5冊目が出た時点で亡くなった、ということだけお伝えするにとどめます。


今から30年ほど前の段階では、アメリカにおいてさえも、「大草原のローラ」シリーズに、ローラの娘ローズの影の尽力があったことを語ることは、「ありえない」と拒絶されるようなことでした。
今では、ローラの元々の表現力を、編集でローズが関わったことが、特に「大草原のローラ」シリーズの初期では果たした役割が大きかったと、その功績が認められています。


そんな長く日の当たらない存在であったローズについて、谷口さんは2冊の本にかかわっています。
そのひとつは、「大草原のバラ」。
アメリカのローラ研究家と協同で谷口さんがローズにスポットライトを当てて書いた“原書のない”作品です。
そしてもうひとつは「わかれ道」。
これはローズが書いた自分の経験をベースにしたフィクション作品です。
ローズの幼馴染のポールとの関係が、ローズ自身が書いた「わかれ道」と、「新大草原の小さな家」の8冊目との違いを読み比べるのも面白そうです。