10月20日は、翻訳家 谷口 由美子さんが自ら手掛けられた英米児童文学の魅力をお伝え下さる茶論(サロン)トーク、「茶論トーク 英米児童文学の愉しみ」を開催致しました。
参加下さいました皆さま、ありがとうございます♪

本日、谷口さんがご紹介くださいましたのは、「アリスの奇跡 ホロコーストを生きたピアニスト」 です。

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原題は「A Century of Wisdom:Lessons from the life of Alice Herz-Sommer; the world's Oldest Living Holocaust survivor」。
原書の作家はニューヨーク在住のピアニストであり、ドキュメント映画プロデューサーであり、作家でもあるキャロライン・ステシンジャー。
彼女の祖父母はナチスの収容所に居た経験があり、それ故か彼女はナチスによるユダヤ人のホロコーストの時代にユダヤ人の音楽家たちがどのように生きたのかを調べている人だそうです。
その中で巡りあったのが、チェコ生まれのユダヤ人ピアニスト、アリス・ヘルツ=ゾマー。
ステシンジャーがアリスへのインタビューを通じて得た、どんなに過酷な状態であっても生き抜く知恵を学びとしてまとめた本です。

※ホロコースト(holocaust)の頭文字“h”が大文字の場合は、ナチスがユダヤ人に対して行ったものを指します。
小文字の場合は、世界のいろんなところで行われている行為に用いられます。


アリスの場合は、ピアニストであったことが彼女自身を生かしたという事実があります。
しかしもっと重要なのは、アリスなどの演奏家たちが収容所内で開催していたコンサートによって、収容所生活でつかの間の心の潤いを得ることで多くのユダヤ人収容者が生きることができた、ということです。

さらには、ドイツ兵も彼女をはじめとするチェコのユダヤ人たちの音楽会を聴くことで「人間性」を持つ機会があったとも言えます。
 

この本は、アリス・ゾマー=ヘルツがユダヤ人を対象としたホロコーストでどのような悲惨な目にあったかを綴ったものではありません。過酷な状況下において、どうやって生き抜いたか、が語られています。


アリスが語った強く生き続ける智慧として語った言葉の数々が凝縮された本。

世界規模のロングバケーションにおいて、人種の差別、さらには感染者への差別などが露見した今。
ある意味、過酷な状況化にある今。

ぜひ、紐解いてみてはいかがでしょうか?