10月22日は、翻訳家 谷口 由美子さんが自ら手掛けられた英米児童文学の魅力をお伝え下さる茶論(サロン)トーク、「茶論トーク 英米児童文学の愉しみ」を開催致しました。
参加下さいました皆さま、ありがとうございます♪

191022001

今回、谷口さんが取り上げました英米児童文学は「もつれた蜘蛛の巣」でした。

この本は「赤毛のアン」で日本でも有名なL.M.モンゴメリの作品。
モンゴメリは『青い城』など、大人のためのロマンス小説を7冊書いています。
その2冊目が「もつれた蜘蛛の巣」です(原題は“A Tangled Web”)。

谷口さんがとにかく面白いと絶賛されるお話。
モンゴメリ作者本人も時々間違えてしまっているほど、あまりの登場人物の多さに、1章で挫折してしまうかもしれませんが、そこをぜひ乗り越えて欲しい!ほどに、ステキなハッピーエンド小説。
舞台やドラマの担当の方には注目して欲しい作品です。

この作品の紹介とともに、モンゴメリの生涯についても谷口さんはご紹介くださいました。

粛々たる牧師夫人としての一生を始める前にはモンゴメリも2度ほど、結婚を考えた恋の経験がありました。
そして、牧師夫人として夫とともに人生を歩んでからは、生前は一度もプリンス・エドワード島に戻ることはありませんでした。

聡明なで魅力的なモンゴメリが牧師夫人として立派に務め上げることができた、その生き方を支えたものの大きなものが「小説を書くこと」だったと、谷口さんはおっしゃいます。
小説ではいつもモンゴメリを魅了してやまなかったプリンス・エドワード島のうつくしい風景が描かれます。
登場人物の中には、非常に正論だけど辛辣な表現をする人物も出てきます。
表面からは伺い知ることのないモンゴメリの心中のモヤモヤはすべて小説に吐き出すことで、モンゴメリは平静を保っていられたのだ、と。

そう考えると・・・
もつれた蜘蛛の巣」のベッキーおばさんはモンゴメリ本人で、登場するあまたの女性たちの中には今までのいろんなモンゴメリ自身が投影されているのかもしれません。