本日は、翻訳家 谷口 由美子さんが自ら手掛けられた英米児童文学の魅力をお伝え下さる茶論(サロン)トーク、「茶論トーク 英米児童文学の愉しみ」を開催致しました。
参加下さいました皆さま、ありがとうございます♪

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本日谷口さんがご紹介くださった英米児童文学はルイザ・メイ・オルコット作の「若草物語」の“続き”です。
“続き”?

そう。
前回2月19日の「茶論トーク 英米児童文学の愉しみ」でも紹介がありましたように、「若草物語」は全部で4巻あります。
前回の茶論トークでは、青い鳥文庫の「若草物語」の1巻は別の方が訳されていたものを谷口さんが新訳されたお披露目、として1巻のお話がメインでした。
今回は2巻から4巻までのお話でした。

今も映画の新作が作られている「若草物語」。
その映画のストーリーは1巻と2巻を合わせたものとなっています。
そのため、アメリカでは1巻と2巻を合作したカタチで出版しているものがあるそうです。 

「若草物語」はルイザ・メイ・オルコットが出版社の方から
「普通のアメリカの家庭の普通の少女の小説を書いて欲しい」
という依頼から始まった、そうです。

「若草物語」の1巻に、自作の劇で男役を演じる“ジョー”として投影しているようにルイザ自身も男の子の冒険活劇の依頼ならばいくらでも! というところでしたが、依頼は“女の子”・・・
そこで、身近な存在として、自分たち4姉妹を元に小説を書いたのが「若草物語」シリーズです。
1巻と2巻は、映画のストーリーとなるように、本自体も時間を開けることなく続けて出版されています。

3巻と4巻は少しあと、「若草物語」の作者として名声を得たあとで書かれています。
3巻は、2巻の最後に書かれている“ジョー”と“ベア先生”がかねてから夢であった学園を始めた話。
ベス以外の3人の姉妹の子供たちが出てきます。
4巻は3巻で始まった学園が大学にまで育ち、学園で育った姉妹たちの子供たちも大人に成長していく話。

「若草物語」は小説としても優れた、面白いお話。
ですが、谷口さんが訳されたノーマ ジョンストン著の「ルイザ―若草物語を生きたひと」と合わせて読んでみると、さらに魅力が深まります。



谷口さんが監修された「ルイザ―若草物語を生きたひと」は、世界中の少女に愛されてきた名作『若草物語』の作者ルイザ・メイ・オルコットの波乱に満ちた生涯を、オルコットを敬愛する熟練の物語作家ノーマ・ジョンストンが生き生きと描いたルイザ・メイ・オルコット伝です。
本の中では、ルイザ・メイ・オルコットの生涯を豊富な写真や資料で紹介し、さらにはルイザの日記や手紙からの引用も含まれています。

「若草物語」では、ルイザ自身が経験したことが、自分の分身“ジョー”だけでなく、エッセンスとして散りばめられています。
それはルイザが敬愛してやまなかった“ゲーテ”だったり、ルイザが実際に出会ったポーランド青年だったり。

例えばですが。
ルイザが出会ったポーランド青年は、ローリーとして投影され、物語では“ジョー”ではなく“エイミー”と結婚します。
ですが、そのローリーの愛称である“テディ”は、“ジョー”と“ベア先生”の子どもの愛称に使われています。

このように、「若草物語」のお話は、登場人物の名前がとても大切なことも多いのです。

実際に若くして亡くなったルイザの妹“ベス”は、小説の中でも名前はそのまま、そして3巻以降のうつくしい少女にも“ベス”が使われています。
3巻で亡くなるメグのご主人“ジョン”も、ルイザの実際の姉のご主人の名前・・・。

ルイザは小説を書きながらも、称えるべき人に小説の登場人物として永遠の命を与えているのがわかります。

ルイザの実生活にかなり似通った小説「若草物語」ですが、ルイザの実のお父さんは小説ではあまり登場しません。でも、ルイザの実のお父さんの“思想”をルイザはちゃんと小説で“大成功”というカタチで残しています。
それは・・・

「若草物語全4巻」、そして「ルイザ―若草物語を生きたひと」読む方のための愉しみにとっておきますね♪