2月18日は、翻訳家 谷口 由美子さんが自ら手掛けられた英米児童文学の魅力をお伝え下さる茶論(サロン)トーク、「茶論トーク 英米児童文学の愉しみ」を開催致しました。
参加下さいました皆さま、ありがとうございます♪

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今回、谷口さんが取り上げました英米児童文学は「8人のいとこ」でした。

この本は「若草物語」で日本でも有名なルイザ.メイ.オルコットの作品。

に入る前に、まずは日本上映も近づいている最新版の映画「若草物語」の話から。
最新版の映画「若草物語」のタイトルは欧米では今までどおり「Little Women」なのですが、日本上映のタイトルは『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』となっています。これは今回の映画の監督(女性なのですが)が、オルコットとJoeが重なっていることをより意識して創られていることから付けられた日本での興業のためのタイトルです。

そして、谷口さんが訳して出版の運びとなった映画のストーリーと同じく1と2が収められた翻訳版の愛蔵本も紹介されました。


オルコットは子ども、特に男の子が大好きだったそうで、男の子を主人公にした文学を書きたいと願っていたそうです。ところが、出版社の編集の方に最初に依頼されたのは「女の子のお話」・・・。そこでオルコットは自分も含めた4姉妹をベースにした文学を書いたのでした。それが「若草物語シリーズ」です。

その男の子の話を書きたかったオルコットらしい作品が、今回ご紹介くださった「8人のいとこ」。
主人公は13歳の女の子ローズ。
両親を失ったローズはローズの父の弟でステキなおじさまアレックに引き取られます。そこには男の子ばかり7人のいとこがいて・・・。

ローズを引き取ったアレックおじさんは医者をしていて船医として船に乗り込み、世界中を旅しています。
当時のアメリカではヨーロッパにすら行ったことがない人がたくさんいた時代。
2度も渡欧した経験のあるオルコットの面目躍如ぶりが発揮されます。

当時は女性が船の職員として乗ることがない時代。
アレックおじさんは船医なので船の中ではそれこそ女性がやるようなこともすべてできなくてはなりません。
ですので、アレックおじさんは男性でありながら、家事のようなこともすべてできます。
ローズは引き取られた先のおばさんや大おばさんから家事をひとつずつ習うのですが、できないことがなさそうなアレックおじさんができないことが実は・・・、というとてもオシャレなストーリーもあります。

この訳本はいわゆる簡訳本です。
それは小学生向けということもありますが、この本が出版された当時のアメリカから見た世界の認識が今の時代では少し問題になりそうな箇所があり、そこを谷口さんが配慮した部分もあります。
その部分が気になる方は原書を読まれてみるとよいと思います。

そしてこの「8人のいとこ」、実は1と2とあるうちの“1”が今回訳本として出版されました。
“2”も気になる・・・という方は、ぜひ続編の出版希望を♪