U_U 's blog

東京都文京区小日向のGalleria Caffe U_U(ユー)の日々を綴るblogです

谷口由美子

【Salone report】 2021.10.26 茶論トーク 英米児童文学の愉しみ

10月26日は、翻訳家 谷口 由美子さんが自ら手掛けられた英米児童文学の魅力をお伝え下さる茶論(サロン)トーク、「茶論トーク 英米児童文学の愉しみ」を開催致しました。
参加下さいました皆さま、ありがとうございます♪

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今回、谷口さんが取り上げました英米児童文学は「ローズの小さな図書館」でした。

ローズの小さな図書館」は原題が「Part Of Me」、作家はキンバリー・ウィリス・ホルトで、今も存命の作家です。
谷口さんが訳された「ローズの小さな図書館」以外にも珠玉の作品を書かれている作家で、特に、児童文学作家でありながら、男の子・女の子の思春期特有の描写に優れている作家、とのことです。

ローズの小さな図書館」は、最初の主人公ローズが14歳にして移動図書館の運転手を勤めるところから始まりローズが79歳になるまで、ローズの子ども、孫、ひ孫の代の子どもが10代の頃を主人公にした“本”が重要な役割を果たすストーリーの児童文学です。


ローズの父が家を出ていったためにローズの母はローズと弟とともに生まれ故郷のルイジアナに戻ることにしました。そのルイジアナを舞台にストーリーは展開していきます。


ルイジアナは「ケイジャン訛り」という独特の訛りがあり、原書にはそれが現われています。
訳本の常なる問題として、この英語圏の訛りをどう日本語で表現するか、というのがあります。
映像も音声も使えない“本”では「文字」として視覚で表現しなければなりません。またあまりに訛りの表現の個性が強すぎることで、肝心のストーリーへの集中を阻害しては元も子とありません。
谷口さんが「ローズの小さな図書館」でどのように訳したか、
はぜひ、手に取ってお読みください。

原書から訳本にするうえで、谷口さんが工夫したもうひとつは、ローズなど登場人物の呼び方です。
原書では名前で呼び合っているものを、“おかあさん”とか“おばあちゃん”といった呼称に谷口さんが意図的に変えているところがあるそうです。この児童文学は世代が進んでいく話でもあるので、ローズが今、主人公から見てどの位置にいる親族なのかがわかりやすくなっているのは、とても助かる部分です。

また訳本の特典として、谷口さんが作家ホルトさんにお願いしていただいた「日本の読者のみなさんへ」のあいさつ文が掲載されています。

原題は「Part Of Me」ですが、その意味するところは物語の最終章を読むとわかる、そうです。
後々も名作として語り継がれるかもしれない、現代の英米児童文学。
本がお好きな方にはたまらない内容のストーリーです。
気になる方はぜひ、お手に取ってみてください♪

【Salone report】 2021.6.29 茶論トーク 英米児童文学の愉しみ

6月29日は、翻訳家 谷口 由美子さんが自ら手掛けられた英米児童文学の魅力をお伝え下さる茶論(サロン)トーク、「茶論トーク 英米児童文学の愉しみ」を開催致しました。
参加下さいました皆さま、ありがとうございます♪

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今回、谷口さんが取り上げました英米児童文学は「新大草原の小さな家のなぞ!」というタイトルで「新大草原の小さな家」シリーズでした。

”と付くと日本語翻訳本では「大草原のローラ」シリーズの作者ローラ・インガルス・ワイルダーが母となり娘を授かっての暮らしのシリーズを指します。これは日本だけの表現で、本国のアメリカでは「ローズ・イヤー」とか「ロッキーリッジシリーズ」と呼ぶそうです。

さて、今回は「新大草原の小さな家のなぞ」というタイトルなのですが、そのなぞとはいったい・・・。

実は「新大草原の小さな家」シリーズは、谷口 由美子さんともうひと方とで分担して訳を担当されていまして、谷口さん奇数巻、もうひとかたが偶数巻を担当されました。
原書では、8冊出版されているのですが、訳本は6冊で止まっています。
それはなぜか・・・
それは谷口さんが第7巻を訳すのを良しとできなかった、からです。

その理由については、茶論トークでしっかりとお話しくださいました。
ここでは、「新大草原の小さな家」シリーズの“著者”として名前が出ているロジャー・リー マクブライドが5冊目が出た時点で亡くなった、ということだけお伝えするにとどめます。


今から30年ほど前の段階では、アメリカにおいてさえも、「大草原のローラ」シリーズに、ローラの娘ローズの影の尽力があったことを語ることは、「ありえない」と拒絶されるようなことでした。
今では、ローラの元々の表現力を、編集でローズが関わったことが、特に「大草原のローラ」シリーズの初期では果たした役割が大きかったと、その功績が認められています。


そんな長く日の当たらない存在であったローズについて、谷口さんは2冊の本にかかわっています。
そのひとつは、「大草原のバラ」。
アメリカのローラ研究家と協同で谷口さんがローズにスポットライトを当てて書いた“原書のない”作品です。
そしてもうひとつは「わかれ道」。
これはローズが書いた自分の経験をベースにしたフィクション作品です。
ローズの幼馴染のポールとの関係が、ローズ自身が書いた「わかれ道」と、「新大草原の小さな家」の8冊目との違いを読み比べるのも面白そうです。

【Salone report】 2021.2.16 茶論トーク 英米児童文学の愉しみ

2月16日は、翻訳家 谷口 由美子さんが自ら手掛けられた英米児童文学の魅力をお伝え下さる茶論(サロン)トーク、「茶論トーク 英米児童文学の愉しみ」を開催致しました。
参加下さいました皆さま、ありがとうございます♪

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今回、谷口さんが取り上げました英米児童文学は「8人のいとこ②」でした。

「若草物語」で日本でも有名なルイザ.メイ.オルコットの作品「8人のいとこ」の青い鳥文庫版の茶論トークをしてくださったのが、2020年の2月18日。
その時にも話題に出ていた続編が同じ青い鳥文庫から出版された、そのお話でした。

もともと男の子の話を書きたかったオルコットらしい作品が、「8人のいとこ」。
主人公はである13歳の女の子ローズは、両親を失ったことでローズの父の弟でステキなおじさまアレックに引き取られます。そこには男の子ばかり7人のいとこがいて・・・。

1では、ローズとアレックスおじさん、そしてメイドのフィービがヨーロッパに渡航していろいろと経験をするところで終わっています。
2では、ローズたちが帰郷してきてからのお話。ローズは20歳になっています。

これまでの翻訳本では「花ざかりのローズ」というタイトルで出版されていましたが、今回の谷口さん訳では続編であることを伝えるために「8人のいとこ②」とし、副題に「ローズの恋」と付けました。

今回の本に限らず、谷口さんは
翻訳本は、原作のある日本文学
とおっしゃいます。

原書は時代を経ても変わることがありませんが、それを訳した形で出される翻訳本は、「その時代の人に合った文学作品」となるように、いろんな工夫がなされます。

たとえば、大人になったローズのいとこたち7人の男性。
その当時の大人の男性たる身だしなみとして「ヒゲ」があるのですが、本のビジュアルでは表現していません。
原書の魅力を伝えつつも、日本語で読む方にもすんなりと読めて愉しいものであるために、タイトルから含めて、それはそれは本当にいろんな配慮や工夫がされているのです。


8人のいとこ②」では、10章の目次タイトルが、今までの訳本では「悲しい日々」となっていたのですが、今回の訳本で谷口さんは、その章の中でアレックスおじさんがローズに言ったステキな言葉から付けています。
それは・・・、ぜひ、お手に取って読んでみてくださいね♪


ちなみにこの11章のくだりは、その当時の女性の人生観に一石を投じるような展開となっています。
ここにもあるように、「8人のいとこ」シリーズでは、アレックスおじさんを通して、作者ルイザの思想も垣間見えます。

【Salone report】 2020.10.20 茶論トーク 英米児童文学の愉しみ

10月20日は、翻訳家 谷口 由美子さんが自ら手掛けられた英米児童文学の魅力をお伝え下さる茶論(サロン)トーク、「茶論トーク 英米児童文学の愉しみ」を開催致しました。
参加下さいました皆さま、ありがとうございます♪

本日、谷口さんがご紹介くださいましたのは、「アリスの奇跡 ホロコーストを生きたピアニスト」 です。

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原題は「A Century of Wisdom:Lessons from the life of Alice Herz-Sommer; the world's Oldest Living Holocaust survivor」。
原書の作家はニューヨーク在住のピアニストであり、ドキュメント映画プロデューサーであり、作家でもあるキャロライン・ステシンジャー。
彼女の祖父母はナチスの収容所に居た経験があり、それ故か彼女はナチスによるユダヤ人のホロコーストの時代にユダヤ人の音楽家たちがどのように生きたのかを調べている人だそうです。
その中で巡りあったのが、チェコ生まれのユダヤ人ピアニスト、アリス・ヘルツ=ゾマー。
ステシンジャーがアリスへのインタビューを通じて得た、どんなに過酷な状態であっても生き抜く知恵を学びとしてまとめた本です。

※ホロコースト(holocaust)の頭文字“h”が大文字の場合は、ナチスがユダヤ人に対して行ったものを指します。
小文字の場合は、世界のいろんなところで行われている行為に用いられます。


アリスの場合は、ピアニストであったことが彼女自身を生かしたという事実があります。
しかしもっと重要なのは、アリスなどの演奏家たちが収容所内で開催していたコンサートによって、収容所生活でつかの間の心の潤いを得ることで多くのユダヤ人収容者が生きることができた、ということです。

さらには、ドイツ兵も彼女をはじめとするチェコのユダヤ人たちの音楽会を聴くことで「人間性」を持つ機会があったとも言えます。
 

この本は、アリス・ゾマー=ヘルツがユダヤ人を対象としたホロコーストでどのような悲惨な目にあったかを綴ったものではありません。過酷な状況下において、どうやって生き抜いたか、が語られています。


アリスが語った強く生き続ける智慧として語った言葉の数々が凝縮された本。

世界規模のロングバケーションにおいて、人種の差別、さらには感染者への差別などが露見した今。
ある意味、過酷な状況化にある今。

ぜひ、紐解いてみてはいかがでしょうか?


 

【Salone report】 2020.8.25 茶論トーク 英米児童文学の愉しみ

8月25日は、翻訳家 谷口 由美子さんが自ら手掛けられた英米児童文学の魅力をお伝え下さる茶論(サロン)トーク、「茶論トーク 英米児童文学の愉しみ」を開催致しました。
参加下さいました皆さま、ありがとうございます♪

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今回、谷口さんが取り上げました英米児童文学のタイトルは「“オルコットがさらに楽しくなる本2冊”のお話です」として、オルコットに関するご本が紹介されました。

日本でも上映が解禁された新作映画「若草物語」。あたらしい映画では、作者ルイザ・メイ・オルコットと作中のジョーとがオーバーラップされるような作りとなっていました。その映画のセリフでは、オルコットを敬愛する物語作家 ノーマ・ジョンストンが書き、谷口さんが訳された「ルイザ ー若草物語を生きた人」でも取り上げられているオルコットの日記や手紙に残されている言葉も、映画のセリフとして使われているそうです。

そんなオルコットの代表作となっている「若草物語」。それ以外にも、ステキな物語がありますが、そのひとつ「8人のいとこ」の続編の出版が決まって、いま、谷口さんは出版者の方とその仕上げにかかっていらっしゃいます。その内容、そしてタイトルにまつわる話を、お伝えくださいました。

若草物語」、「8人のいとこ」に共通するのは、ヨーロッパの香りに満ちている児童文学であること。
それはオルコット自身が2度渡欧している経験があることもありますが、多くのアメリカ国民にとって、ヨーロッパは自身のルーツの国がある場所。いつか訪れてみたい場所ということもあって、ヨーロッパから移民してきたアメリカ国民の心を惹きつけるものである、とのことです。

そんなこれからの愉しみとなるオルコットの作品のほかに、谷口さんがご紹介くださったが“オルコットがさらに楽しくなる本”があります。

まずひとつめは、谷口さんが訳されたジェイン ラングトン著の「大空(そら)へ―ジョージーとガンの王子」 。
この本の作者は、オルコットが暮らした場所でもあるアメリカ文学史の聖地とも言える町マサチューセッツ州コンコードのほど近くに住んでいて、この作品もコンコードが物語の舞台となっています。その作品中には、オルコットのことを知っている人にはたまらないエピソードが織り込まれている、そんな作品です。

もうひとつは、こちらはまだ訳本が出ていない作品「Lotta's Progress」。
作者は「ルイザ ー若草物語を生きた人」を書いたノーマ・ジョンストン。
なんと、この作品中はルイザをはじめ、オルコット家族が実名で登場し、主人公のロッタと交流しているのです。
この作品が翻訳されて日本文学として読める日が訪れることを、ぜひ待望しましょう♪
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