本日は、翻訳家 谷口 由美子さんが自ら手掛けられた英米児童文学の魅力をお伝え下さる茶論(サロン)トーク、「茶論トーク 英米児童文学の楽しみ」を開催致しました。
参加下さいました皆さま、ありがとうございます♪

本日、谷口さんがご紹介くださいましたのは、谷口さんが訳された絵本の数々です。

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日本に海外の絵本の翻訳本が登場したのは1950年頃になってで、そのころは他の日本語本と同じく縦書きでした。
海外絵本の翻訳本に、原書の絵を活かすレイアウトとして翻訳日本語を横書きでレイアウトしたのは福音館書店で、これは画期的なことだったそうです。

絵本の歴史に大きな変革をもたらしたのはアメリカだそうです。
その中でも、マーガレット・ワイズ・ブラウンは絵本の世界に新風を吹き込んだパイオニア的作家なのだとか。
絵本はアメリカにおいて、「子供に教訓を教えるための本」から「子供が読んで楽しむ本」に、さらには「大人が読んでも楽しめる本」へと発展しました。

今回谷口さんが紹介してくださった絵本はいくつかあります。
エミットとかあさんの歌」はラッセルとリリアンのホーバン夫妻の共作で作られた絵本です。
この本はジャコウネズミの家族が主人公になっています。この話は、短編作家オーヘンリーの「賢者の贈り物」がベースになっているクリスマスの時期の物語です。
この本はつい最近に増刷となったそうです。

ハービーのかくれが」も同じくラッセル&リリアン・ホーバン夫妻作の絵本です。
これもジャコウネズミの家族が主人公のお話で、喧嘩ばっかりしている姉弟の心温まるお話です。

ぼくのキング・エメット」 はメアリ・ストールズ作の絵本。
豚が大好きな都会っ子エメット少年が主人公のお話。原作は2篇構成になっているのですが、翻訳は2冊目のみ行わました。

長い長いベッドカバー」 はギャラリーで働くシルビア・フェアが作者というちょっと異色な、大人が読んでも楽しい絵本です。
この本は、谷口さんが地元の区で英語の翻訳講座の題材として使ったものを、講座の参加者でもあった出版者の方が「せっかくだから出版しましょう」とおっしゃって出版されたものとのこと。
なので翻訳が「杉並セシオン」となっています。

ご紹介くださった絵本は、増刷されているものもありますが、そうでないものが多数あります。
ビジネス上の事情もあるのでしょうが、すばらしい作品が手に取れる状態になくなっていること、翻訳されない状態にあることを知るたびに、残念な氣持ちがおきます。
なんとかなるといいなぁと、ただただ願うばかりです。