本日は、「ワインのことをもう少し識りたい」方に向けて開催しております体感型ワイン・テイスティング講座、「Wine Lovers Club」を開催致しました。
参加下さいました皆さま、ありがとうございます♪

1月からのクールのテーマは「ハプスブルク帝国所縁の地」です。
1438年にハプスブルク家のアスプレヒト2世が神聖ローマ帝国皇帝に選出されて以後、ハプスブルク家が帝位をほぼ独占して選ばれたのを「ハプスブルク帝国」と称します。
ハプスブルク家は積極的な婚姻政策でヨーロッパの有力な諸家と結びつきながら、その領土を拡大していきます。
そんな史実も絡めながら、ハプスブルク帝国に所縁のある国のワインをテイスティングしていただきます。

6回目のテーマは「ハプスブルク帝国の帝都」というテーマで開催いたしました。
その国とは「オーストリア」です。

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かつてハプスブルク帝国時代には隆盛を誇ったオーストリア帝国も、現在は日本の面積の5分の1ほどの小国となっています。
ワインの生産量は世界全体の生産量の1%ほど。
ですが、質に目を転ずれば驚く程多彩なテロワールと独自の地場品種が織り成す、世界のどこにも見つけることができない個性あふれるワインの宝庫です。

それらのワインがなぜあまり知られていないかというと、ほとんどが自国で消費されていたからです。
オーストリア人の好みは「少し軽めで締まった辛口」で、この香味は日本の食事にも非常によく合います。
生産されるワインは、その70%が白ワインで、30%が赤ワイン。ですが、近年は赤ワインの比率があがってきています。

またオーストリアには、白ワイン、赤ワイン、ロゼワイン、スパークリングワイン、と同等に「ゲミシュター・サッツ」というカテゴリーが存在します。「ゲミシュター・サッツ」とはひとつの葡萄区画に複数の葡萄を混植し、同時に収穫して混醸して造られるワインです。これはヨーロッパがフィロキセラ害にあう前には普通に行われていたワイン製法で、オーストリアではこの伝統ある栽培&醸造方法を守り続けています。

オーストリアワインの自国消費が高い理由のひとつが、「ホイリゲ」と呼ばれるワイン居酒屋の存在です。
このホイリゲは、1789年にマリア・テレジアの息子 ヨーゼフ2世が発布した「自らの畑と屋敷で作ったパン、チーズ、ワインなどの生産物を、自分の屋敷内で販売したりサーヴィスし、収益を上げることを許す」法律が制定されて以降生まれたものです。
そのホイリゲ文化は、今もオーストリア国内で連綿と受け継がれています。

今回はオーストリアでもっとも飲まれている白葡萄品種、オーストリアでさえ全生産量の1%しか生産されていない白葡萄品種、そしてゲミシュター・サッツのワインをテイスティングしていただきました。

次回は7月21日「オーストリアの白葡萄品種」というテーマでワインをセレクトします。

今回テイスティングしたワインのノートは以下のとおりです。

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