本日は、「ワインのことをもう少し識りたい」方に向けて開催しております体感型ワイン・テイスティング講座、「Wine Lovers Club」を開催致しました。
参加下さいました皆さま、ありがとうございます♪

1月からのクールのテーマは「ハプスブルク帝国所縁の地」です。
1438年にハプスブルク家のアスプレヒト2世が神聖ローマ帝国皇帝に選出されて以後、ハプスブルク家が帝位をほぼ独占して選ばれたのを「ハプスブルク帝国」と称します。
ハプスブルク家は積極的な婚姻政策でヨーロッパの有力な諸家と結びつきながら、その領土を拡大していきます。
そんな史実も絡めながら、ハプスブルク帝国に所縁のある国のワインをテイスティングしていただきます。

2回目のテーマは「二重君主国の一翼」というテーマで開催いたしました。
その国とは「ハンガリー」です。

ハンガリーはヨーロッパの中央に位置し、建国1100年の歴史を誇る国です。
ドナウ川流域のカルパチア盆地に抱かれた国内には22地域のワイン生産地が点在しています。

現在のハンガリーの地には1世紀には既にローマ帝国が属州パンノイアを置いていました。
4世紀頃からさまざまな民族が到来しては定着しました。
955年にタクショニュがレッヒフェルトの戦いでオットー1世に敗れるとカトリックによるキリスト教に改宗してパンノニア平原に統一王国建設を開始、その孫のイシュトヴァーン1世が本格的にキリスト教に改宗するとローマ教皇からハンガリー国王としての聖別を受け、ヨーロッパ世界の一員となりました。
ハンガリーはその後、オスマントルコとの境界線争いの場となり、1526年のモハーチの戦いにて国王が戦死した際に、姻戚関係にあったオーストリア大公のハプスブルク家が王冠を継承することになりました。
19世紀中盤になって、ハプスブルク帝国のヨーロッパでの影響力が低下し始めるとハンガリーの独立気運が持ち上がります。そして1867年にハンガリー王国は自治権拡大が認められ、オーストリア=ハンガリー帝国が成立します。
その後、2つの世界大戦、そして共産圏時代、とハンガリーは国の体制を保ちつつも激動の歴史を経ています。

ハンガリーではワインは、マジャール人がキリスト教に改宗する以前にも飲まれ続けていました。
ハンガリーでは1960年以降にメルロやシャルドネなどの国際品種が導入され始めましたが、白葡萄品種のフルミント種や黒葡萄品種のカダルカなど固有品種も植えられています。

ハンガリーといえば、世界3大貴腐ワインのひとつ「トカイアスー」が有名です。
ほかの2つ、ドイツの「トロッケンベーレンアウスレーゼ」とフランスの「ソーテルヌ」は貴腐菌の働きによって葡萄が貴腐化したものを使用しますが、「トカイアスー」はトカイ独特の気候によって「アスー化」という特殊な現象が起きた葡萄を使います。そして造り方の過程も独特な手法が用いられています。

今回は、フルミント種を主体にしたスティルワイン、トカイアスー、そして遅詰みの3種類のワインを比較テイスティングしました。
甘味にも負けないフルミント種の爽やかな酸味、そしてアスー化と遅詰みの香味の違いを感じ取っていただきました。

次回は3月17日「アドリア海の至宝」というテーマでワインをセレクトします。

今回テイスティングしたワインのノートは以下のとおりです。

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