本日は、翻訳家 谷口 由美子さんが自ら手掛けられた英米児童文学の魅力をお伝え下さる茶論(サロン)トーク、「茶論トーク 英米児童文学の楽しみ」を開催致しました。
参加下さいました皆さま、ありがとうございます♪

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本日、谷口さんがご紹介くださいましたのは、「若草物語」の著者、ルイザ・メイ・オルコットです。

「若草物語」と邦題がついている作品は、マーチ家の4姉妹が主人公のお話です。
このシリーズは、オルコットの自伝的要素がベースとなっています、
と10月の茶論トークで谷口さんがご紹介してくださっていました。

実際、ルイザも4姉妹で、次女。
物書きが好きな男勝りな性格は「若草物語」のJoそのものです。
ファミリーネームは、ルイザの母方のファミリーネームでルイザも氣に入っていたという"May"、これは5月を表す名詞でもありますが、そこから"March"にしたようです。
ルイザ4姉妹の3女ベスも、作品中の3女ベスと同じように若くして亡くなります。
ベスをとても可愛がっていたルイザはベスの名前だけはそのまま作品に使い、作品の中で永遠に生きることになりました。

ルイザは生涯独身で過ごしますが、Joは年上のドイツ人と結婚します。
これは、ルイザが育った環境の影響も大きいそうです。
ルイザたちが暮らしたコンコードは「アメリカ文化の根っこの街」で、エマソンやソローなどアメリカ文学の巨匠たちが大勢いた街。
その文学の雰囲気をたっぷりと吸収してルイザは育ちました。
また、ルイザはゲーテが大好きだったそうで、このあたりもJoの結婚相手の条件になったのかもしれませんとのこと。

作中でJoに恋心を持つ青年ローリー(Laurie:Teddy)にも実在の人物が投影されているそうです。
ルイザは生涯で2度ヨーロッパを訪れますが、1回目は「若草物語」執筆前で、富裕層の女性の看護付き人として訪れています。その時スイスでポーランド人の青年と時間を伴にします。
彼の名前は「Ladislas」、通称 Laddie。
彼とルイザの間にロマンスがあったかどうかを示すものは何も残っていないので推測するしかありません。

「若草物語」の作中、ルイザはローリーと4女エイミーを結婚させます。
そして、実際のところ、ルイザ4姉妹の4女メイはスイス人と結婚します。

小説と事実の不思議な関係。
ルイザの生涯を描いた本の翻訳も谷口さんが手掛けていらっしゃいます。

ご興味持たれました方は、ぜひ、作品を読んでみてください。