本日は、翻訳家 谷口 由美子さんが自ら手掛けられた英米児童文学の魅力をお伝え下さる茶論(サロン)トーク、「茶論トーク 英米児童文学の楽しみ」を開催致しました。
参加下さいました皆さま、ありがとうございます♪

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本日、谷口さんがご紹介くださいましたのは、「若草物語」です。

この作品はL.M.オルコットの作品で、マーチ家の4姉妹が主人公のお話です。
作品は4冊出ていますが、「Little Women」そして「Little Women Married, or Good Wives」は時を経ることなく出版されています。
そして、3作目として「Little Men」が、さらには4作目として「Jo's Boys」が出ています。
このシリーズは、オルコットの自伝的要素がベースとなっていますが、完全なフィクションとして書かれた作品です。

1933年のキャサリン・ヘップバーンが次女ジョーを演じた映画も1949年にエリザベス・テイラーがエイミー役(本では4女ですが、映画では3女に変更されています)を演じた映画も、「Little Women」そして「Little Women Married, or Good Wives」までが映画のストーリーになっています。

「Little Women」とは、オルコットの父親が実際にオルコットを含む4姉妹を呼称するために用いた言葉で、少女であっても「立派な一人の女性である」という意味合いで用いた言葉です。

日本では1906年、明治39年に4人の女性が共同で“北田秋圃”という名前で訳しています。
その時のタイトルは「小婦人」で、登場人物も日本人名に置き換えた「翻案」となっています。

「若草物語」というタイトルは、1934年に映画が日本で公開されたときのタイトルで、それと時を同じくして出版された矢田 津世子さんの訳本も「若草物語」となっています。
以降、ずっと「若草物語」として訳され続けています。
ですが、最近の方は、このタイトルは、「伊勢物語」や「源氏物語」と同じように古典日本文学のひとつと思って、手に取って読もうとされないのだとか。
言葉に対するイメージは時とともに変わるものですが、はたして「リトル・ウィミン」で手に取ってもらえるかどうか・・・。

作品は出だしのパラグラフで一気に主人公が4姉妹であることと、それぞれのキャラクターがわかるようになっています。これがオルコットの才能のすばらしさであると評されているそうです。
「Little Women」は「大草原の小さな家」シリーズよりも30年ほど前に出ていますし、「あしながおじさん」の中でも主人公アボットが当時の必読図書のひとつとして読んだ本のひとつとして登場しています。
読み比べてみると、オルコットの「Little Women」が後世の作家に影響を与えているように感じられます。

ご興味持たれました方は、ぜひ、作品を読んでみてください。