本日は、翻訳家 谷口 由美子さんに英米児童文学の魅力をお話いただく
茶論トーク「英米児童文学の楽しみ♪」を開催致しました。
参加くださいました皆さま、ありがとうございます。

本日、谷口さんがご紹介くださいましたのは、エリザベス・エンライトの作品でした。

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エリザベス・エンライトは、「大草原の小さな家シリーズ」で有名なローラ・インガルス・ワイルダーと同じ時期に活躍したアメリカ児童文学作家です。
時代としては、1930年から40年にかけて。
この時代は、ローラ・インガルスやエリザベス・エンライトの作品の他にも多くのすばらしい児童文学が書かれた時代で、「アメリカ児童文学の黄金期」と呼ばれています。
この時代は、1929年のアメリカ大恐慌のあとにあたります。
アメリカ全体が失意と不安に覆われた時代に、作家や芸術家は人々を元気づけようとする作品を創ろうとしました。結果、とてもいい作品が創られることになります。
また合わせて、お金に余裕がなく外に出かけることができない人々でも本を読むことはできます。
大恐慌によって「真のアメリカとはなにか?」を求める人々に、「暮らしに困っている状態でも、喜びや楽しみを見いだす」作品は助けとなったのでしょう。

今回、谷口さんはエリザベス・エンライトの作品の中で、「指ぬきの夏」と「土曜日はお楽しみ」についてご紹介くださいました。
アメリカで使われている指ぬきを実際にお持ちになって、皆さんに見せてくださいました。
それは日本のものと大きく違うものでした。

谷口さんがおっしゃるに、子どもは分からないことがあるとそれがとっても気になるそうです。
分からないままに心にとどめて忘れないで居続けます。
そしてそれがある時分かると、分かったことに喜びを感じるそうです。
だから、よい児童文学では、わざと「子どもだと分からないだろうこと」をそのままに書いているものがあるそうです。

エンライトは芸術畑の両親の元に生まれ、20歳で挿絵画家としてデビューします。
でも他の人の文章にそった絵ではなく、自分が描きたい絵を描きたいと思ったエンライトは、自ら文章を書くようになります。こうして、児童文学作家として多くの作品を残すことになります。
本日紹介くださった2冊の作品は、いずれも主人公たちは「退屈な生活」の中で「楽しいこと」を探します。
そのようすは、ぜひ本を読んでみてください。

ひとつ。
演劇や映画では、登場人物の姿形が違うので、見ただけで「この人は誰か」が分かります。
でも本では、言葉だけです。
そこで谷口さんは、登場人物に口癖や自分を呼ぶ呼び方の特徴を付けるなどして、セリフを見ただけで「誰が言っていることか」が分かるように工夫されているそうです。

これもぜひ、谷口さんが訳された本を読んでみて、楽しんでみて下さい♪