本日は、翻訳家 谷口 由美子さんがひとつの英米児童文学を取り上げて、その魅力をお話くださる茶論トーク、「英米児童文学の楽しみ」を開催致しました。
参加下さいました皆さま、ありがとうございます♪

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本日、谷口さんがお話くださったのは「ローズ・ワイルダー・レイン」。
日本でもTVドラマでも有名な「大草原の小さな家」、その作者ローラ・インガルス・ワイルダーの実の娘がローズ・インガルス・レインです。

母ローラとは違い、ローズは複雑な私生活を経験し、心に矛盾と葛藤を抱えていた、
と谷口さんは説明くださいました。

ローズも作家として作品をいくつか残していますが、作家としての知名度はそれほど高くありません。
でも、勤めていた新聞記者としての文章や自分の生涯をベースにした小説「別れ道」などから、彼女の文才がすばらしいことがわかります。

しかし、ローズは「作家」としてよりも「編集者」としての才能がよりあった人だったようです。
ローズの母、ローラはストーリー・テラーとしての才能は抜群でした。
1930年のアメリカ大恐慌の時代、アメリカ全体が絶望感に覆われた時に、開拓精神で困難に立ち向かっていった人々の智慧を伝えるべく、母ローラに本を書く事を勧めたのがローズでした。
そしてローラが書いた文章を校正したりアドバイスをするなど、ローラの「大草原シリーズ」が素晴らしい文学作品として世に出るのに、ローズの果たした功績は大きいものでした。
ですが、ローズは自分の関与を公表することはなかったために、その名を知られることもなく、また後世、誤った解釈でその名が語られることにもなりました。

ローズがその才能を見出し、協力した人は母ローラ以外にも何人もいるそうです。
ローズは光る原石を磨く才能があり、また磨くことを厭わない性質の人だったそうです。

ローズ自身が出した「別れ道」は、雑誌に連載されていたものに最後の60ページを加筆して本として出版された作品で、雑誌に連載されていたからか、長い小説なのに次に次にと興味を惹かれて読めてしまう小説です。
そして、本が出た当時には画期的なほどの「自立した女性像」が描かれています。
それはまさに、ローズ自身がそうであったように。

皆さんも、ぜひ、ローズ・インガルス・レインの作品に出会ってみてはいかがでしょうか?