本日は、英米児童文学の翻訳家 谷口 由美子さんによります茶論トーク『英米児童文学の楽しみ』を開催いたしました。
参加くださいました皆さま、ありがとうございます。
本日のトークは「秘密の花園」の世界について、でした。

つい最近、青い鳥文庫から3冊構成で、谷口さんの翻訳で新版が出版されたばかりの「秘密の花園」。
今回の翻訳は、原作のほぼ完訳で出版されています。
イギリス生まれのアメリカ国籍、F・バーネットによって1911年に発行されたこの作品。
愛読されていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?
でも、ひょっとしたら、少年少女時代に読まれたものはダイジェスト版だったのではないでしょうか?
今回、谷口さんが完訳を手がけられて、改めて、完訳でなければ作者バーネットの伝えたかったことが伝わらないと感じられたそうです。
谷口さんがおっしゃるには、この本のユニークなところは主人公の女の子 メアリーが〝かわいくない〟こと、だそうです。そのメアリーが、だんだんと自然と触れ、心許せる人と触れ、変貌していきます。それは、人目につかぬように隠されていたコリンにも起きます。
この交流とそれによる変化は、完訳でより細やかに理解することができるようになっているそうです。
また、谷口さんは「秘密の花園」の舞台に関係する場所を、実際に訪ねた経験が、今回の訳でとても役にたったとおっしゃっていました。
たとえば、荒涼としたムーアに花の季節が訪れた時に、ヒースやハリエニシダが咲き乱れる描写があるのですが、原作ではハリエニシダの花の色に関する記述がないそうです。それはイギリス人にとってはハリエニシダの花が身近なもの過ぎるからだそうです。たとえば、日本人であれば桜の花の色はわざわざ書かずとも想像がつく、そんなものだそうです。とはいえ、桜を知らない異国の人にとっては想像できないように、ハリエニシダが身近ではない日本人には花のイメージが湧きません。それが、谷口さんは現地で実際に見ている経験が、訳をするときの情景描写にとても役に立ったそうです。
インターネットの時代、検索で情報は得られますが、それでも実際にその場で見、聞き、感じることには及ばないのが実情のようです。
また、今回の新版では、ヨークシャー訛りだけを話す人、きれいな英語だけを話す人、きれいな英語とヨークシャー訛りを使い分ける人、が原作ではしっかりと表されていて、それをいかに日本語訳で実現するかにも注意を払われたそうです。
翻訳本は原作があるのですが、原作を読まない人にとっては翻訳本がある意味オリジナル作品になるわけですから、それはそれはいろいろな配慮がなされているのですね。
完訳版の「秘密の花園」、ぜひ読んでみたいですね♪
参加くださいました皆さま、ありがとうございます。
本日のトークは「秘密の花園」の世界について、でした。

つい最近、青い鳥文庫から3冊構成で、谷口さんの翻訳で新版が出版されたばかりの「秘密の花園」。
今回の翻訳は、原作のほぼ完訳で出版されています。
イギリス生まれのアメリカ国籍、F・バーネットによって1911年に発行されたこの作品。
愛読されていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?
でも、ひょっとしたら、少年少女時代に読まれたものはダイジェスト版だったのではないでしょうか?
今回、谷口さんが完訳を手がけられて、改めて、完訳でなければ作者バーネットの伝えたかったことが伝わらないと感じられたそうです。
谷口さんがおっしゃるには、この本のユニークなところは主人公の女の子 メアリーが〝かわいくない〟こと、だそうです。そのメアリーが、だんだんと自然と触れ、心許せる人と触れ、変貌していきます。それは、人目につかぬように隠されていたコリンにも起きます。
この交流とそれによる変化は、完訳でより細やかに理解することができるようになっているそうです。
また、谷口さんは「秘密の花園」の舞台に関係する場所を、実際に訪ねた経験が、今回の訳でとても役にたったとおっしゃっていました。
たとえば、荒涼としたムーアに花の季節が訪れた時に、ヒースやハリエニシダが咲き乱れる描写があるのですが、原作ではハリエニシダの花の色に関する記述がないそうです。それはイギリス人にとってはハリエニシダの花が身近なもの過ぎるからだそうです。たとえば、日本人であれば桜の花の色はわざわざ書かずとも想像がつく、そんなものだそうです。とはいえ、桜を知らない異国の人にとっては想像できないように、ハリエニシダが身近ではない日本人には花のイメージが湧きません。それが、谷口さんは現地で実際に見ている経験が、訳をするときの情景描写にとても役に立ったそうです。
インターネットの時代、検索で情報は得られますが、それでも実際にその場で見、聞き、感じることには及ばないのが実情のようです。
また、今回の新版では、ヨークシャー訛りだけを話す人、きれいな英語だけを話す人、きれいな英語とヨークシャー訛りを使い分ける人、が原作ではしっかりと表されていて、それをいかに日本語訳で実現するかにも注意を払われたそうです。
翻訳本は原作があるのですが、原作を読まない人にとっては翻訳本がある意味オリジナル作品になるわけですから、それはそれはいろいろな配慮がなされているのですね。
完訳版の「秘密の花園」、ぜひ読んでみたいですね♪