2月16日は、翻訳家 谷口 由美子さんが自ら手掛けられた英米児童文学の魅力をお伝え下さる茶論(サロン)トーク、「茶論トーク 英米児童文学の愉しみ」を開催致しました。
参加下さいました皆さま、ありがとうございます♪

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今回、谷口さんが取り上げました英米児童文学は「8人のいとこ②」でした。

「若草物語」で日本でも有名なルイザ.メイ.オルコットの作品「8人のいとこ」の青い鳥文庫版の茶論トークをしてくださったのが、2020年の2月18日。
その時にも話題に出ていた続編が同じ青い鳥文庫から出版された、そのお話でした。

もともと男の子の話を書きたかったオルコットらしい作品が、「8人のいとこ」。
主人公はである13歳の女の子ローズは、両親を失ったことでローズの父の弟でステキなおじさまアレックに引き取られます。そこには男の子ばかり7人のいとこがいて・・・。

1では、ローズとアレックスおじさん、そしてメイドのフィービがヨーロッパに渡航していろいろと経験をするところで終わっています。
2では、ローズたちが帰郷してきてからのお話。ローズは20歳になっています。

これまでの翻訳本では「花ざかりのローズ」というタイトルで出版されていましたが、今回の谷口さん訳では続編であることを伝えるために「8人のいとこ②」とし、副題に「ローズの恋」と付けました。

今回の本に限らず、谷口さんは
翻訳本は、原作のある日本文学
とおっしゃいます。

原書は時代を経ても変わることがありませんが、それを訳した形で出される翻訳本は、「その時代の人に合った文学作品」となるように、いろんな工夫がなされます。

たとえば、大人になったローズのいとこたち7人の男性。
その当時の大人の男性たる身だしなみとして「ヒゲ」があるのですが、本のビジュアルでは表現していません。
原書の魅力を伝えつつも、日本語で読む方にもすんなりと読めて愉しいものであるために、タイトルから含めて、それはそれは本当にいろんな配慮や工夫がされているのです。


8人のいとこ②」では、10章の目次タイトルが、今までの訳本では「悲しい日々」となっていたのですが、今回の訳本で谷口さんは、その章の中でアレックスおじさんがローズに言ったステキな言葉から付けています。
それは・・・、ぜひ、お手に取って読んでみてくださいね♪


ちなみにこの11章のくだりは、その当時の女性の人生観に一石を投じるような展開となっています。
ここにもあるように、「8人のいとこ」シリーズでは、アレックスおじさんを通して、作者ルイザの思想も垣間見えます。